首位ソフトバンクは28日の日本ハム戦(ペイペイ)に9―1で快勝して、6連勝を飾った。昨年11月の右ヒジ手術から復帰した武田翔太投手(27)が今季初登板初先発。栗原の2発など打線の援護も受け、昨年9月1日西武戦以来となる約1年ぶりの白星を挙げた。

 本拠地のマウンドに帰ってきた背番号18は感慨に浸るわけでもなく、ひょうひょうと腕を振った。初回から150キロを超える真っすぐを投げ込み、伝家の宝刀カーブを織り交ぜて的を絞らせなかった。14日のウエスタン・リーグ広島戦で7回無失点、21日の同オリックス戦でも8回無失点。今回の昇格は首の張りで抹消された東浜の代役で緊急的措置だったが、7回5安打1失点。堂々たる内容で存在感を示した。

 想定より復帰はずれ込んだ。打者との勝負に集中できるようになったのは「先々週くらいから」。右ヒジにメスを入れた代償は、抜けない違和感だった。完璧主義の男には、うまく〝付き合う〟覚悟が必要だった。気持ちを楽にしてくれた考え方、物事の捉え方がある。「今のテーマは『中庸』です」。辞書では「過不足なく調和が取れている」といった意味だ。違和感が取れず本来の投球ができないもどかしさに直面する中「ケガを治すというより気にならなくなる、(今の状態を)受け入れるという感じ」。自分を追い詰めず、おおらかな心で復帰ロードを歩んできた。