新人王レース快走!巨人・戸郷が周囲を驚かせた〝特殊能力〟

2020年08月28日 06時15分

7勝目を挙げた戸郷

 巨人の高卒2年目右腕・戸郷翔征投手(20)が27日のヤクルト戦(神宮)で5回無失点の好投。チームは5―2で勝利し、自身4連勝での7勝目をマークした。新人王の資格を持つ若武者の快投で巨人が3連勝での首位固めに成功。開幕9連勝のエース菅野と両輪の活躍を見せる若き右腕には、どんな修羅場でも緊張しなくなる〝特殊能力〟があった。 

 マウンド上で動じることはなかった。3回、三者連続四球で二死満塁のピンチもエスコバーを相手に3ボール1ストライクから強気に高め147キロの直球勝負。気迫勝ちで遊飛に打ち取った。

 4回二死三塁で相手先発・高梨が右前に運んだが右翼・松原が猛チャージして一塁へ好返球。ライトゴロとなり無失点で切り抜けた。5回99球4安打5四球無失点で切り抜けた戸郷は7勝目をマークした。

「調子が悪い中でヒット4本に抑えられた。四球が多かったですけど、ひとつ収穫だった」と振り返った右腕を原監督は「粘っこく放ってましたね」と褒めた。

 2018年ドラフト6位と入団前の評価は決して高くなかったが、映像を見た指揮官自ら「投げっぷりがいい。絶対に獲ってくれ」とスカウトに頼み込んで獲得。それが防御率1・90、7勝2敗と今や菅野に並ぶローテの柱に成長した。

 186センチの長身から150キロ超の直球とキレのあるスライダー、フォークを駆使する技術もさることながら、それを発揮できるメンタル面が大きい。昨季、ルーキーでCS、日本シリーズで堂々と腕を振った規格外のマウンド度胸は右腕の〝特殊能力〟が生み出しているという。

「ピンチの方が〝ゾーン〟に入ることが多い。自分の世界を持っていることは強みなのかなと思います」と背番号13はマウンドでの心境を明かす。

 どういうことなのか。Gキャンプ地である宮崎県出身の戸郷にとって少年時代から野球中継といえば巨人の試合だった。「マウンドで投げていて後ろを振り返ればショートに坂本さんがいる。〝テレビと同じだ〟と思うと現実という気がしなくて、まったく緊張しない」(戸郷)。つまり自分を、テレビを見ているという仮想現実の世界に置くことにより、平常心で投球できるのだ。この日も初登板となった神宮のマウンドに「みんなが苦手にしている神宮球場ということでちょっと投げづらさというか〝何か潜んでいる感〟はありましたかね」と独自の感性をあっけらかんと披露した。

 自主トレに同行した〝師匠〟山口俊(ブルージェイズ)がこの日、メジャー初勝利。「ちょうどニュースで知って。同じ勝利を挙げられたのはうれしい。俊さんも頑張っているので自分もしっかり結果を残していい報告ができるように毎回、思いながら投げています」と師弟での同日勝利を喜んだ。この〝特殊能力〟がある限り、快進撃はそう簡単には止まりそうもない。