5位転落の阪神・矢野監督にメンタルの師が緊急エール「楽感野球で大逆転V」

2020年08月21日 11時30分

大嶋啓介氏

「毎日が引退試合」のつもりでやれ! 阪神が20日の巨人戦(東京ドーム)に0―2で敗れ、5位に転落した。打線は36イニング連続無得点で、球団としては9年ぶりとなる屈辱の3試合連続零封負け。首位・巨人に無残な3タテを食らい、正念場に追い込まれた阪神に、状況を打開する手はあるのか。矢野燿大監督(51)ともかねて親交のあるメンタルトレーナー・大嶋啓介氏(46)が本紙を通じ、緊急メッセージを送った。

 試合終了後、オンライン会見に臨んだ矢野監督は憔悴した表情で「なんとも言いようがないけど…。受け止めるしかない。(悔しい)思いは結果に変えていかないとプロじゃない。まだ何も終わったわけじゃない。次戦以降自分たちで流れを変えていける戦いをしなければ」と声を振り絞った。だが、3試合連続零封されるなど負け方が悪すぎる。チームは最下位広島と1・5ゲーム差の5位に転落し、このままずるずる行きかねない雲行きだ。

 指揮官就任2年目。矢野監督は開幕前からたびたび「今年は優勝することになっている」「日本一になると決まっている」と公言してきた。これは「予祝」と呼ばれるもので、自身の願望を「すでに決まっているもの」と捉え、何度も言葉にし“前祝い”することで自身に強烈な暗示をかけ、成功への具体的なイメージを想起させるためのメンタルトレーニングの一環。指揮官自身の熱心な実践もあり、今や予祝はチーム内ではすっかりおなじ
みとなった。

 だが現実は甘くない。チームは開幕からの4カードを2勝10敗で発進。7月は猛反攻を見せ借金を一時完済したが、8月は6勝10敗1分けと再失速。何より、宿敵巨人を相手に2勝8敗と、今年も大きく水をあけられていることがもどかしい。

 矢野監督が予祝を実践するきっかけにもなった「予祝のススメ 前祝いの法則」の著者・大嶋啓介氏は、今年の阪神春季沖縄キャンプにも足を運ぶなど、虎将とは公私にわたって親交が深い。矢野監督の“師”ともいうべき大嶋氏は、現在の阪神の戦いをどう見ているのか。

 本紙が直撃すると「もちろん一流選手たちがしのぎを削るプロ野球の世界は大変にシビアで甘くはありません。でも逆説的な言い方になりますが、彼らアスリートが力を発揮するために最も必要なのは『結果に執着しないこと』なんです」とした上で、自身もメンタル指導などで深く関わる高校野球を例に挙げ、こう説明した。

「『勝たなきゃいけない』高校野球の夏のトーナメントなどでは、動きが硬くなってしまい本来の力を出せない球児たちが多いんです。でも夏の戦いが終わった後、レギュラーになれなかった選手たちのために行われる“引退試合”などでは、驚くほどのパフォーマンスを発揮する選手たちが多くいる。これは私が関わる数多くの高校野球の監督さんたちも口を揃えて証言しています。理由はなぜか?『これが最後』だからではありません。選手たちが心から野球を楽しみ、プレーできることに喜びと感謝を感じているからです」

 アスリートたちが真に力を発揮するために必要なのは、周囲への感謝と心から楽しむことの2つ。「毎日が引退試合」の心構えの重要性を説いた大嶋氏は「阪神にとって巨人戦は、絶対に負けられない戦い。硬くなってしまうのも無理はないかもしれません。ですが矢野監督は誰よりも『感謝』と『楽しむ』ことの重要性を理解して実践しようとしていらっしゃる方。この困難な状況をぜひ心から楽しみながらチームを導いてほしい」とエールを送った。

 最後は「阪神タイガース、大逆転感動優勝、おめでとうございます。伝説の日本一になりました。まさに『うまくいかない事を楽しめたとき、成果は最大となる』の言葉通り、困難やピンチを楽しむことで、大逆転されていきました。日本中の人たちが大感動でした。日本中の人たちが、勇気と希望をたくさんもらった、そんな日本一でした。矢野監督、約束通り、ビールかけさせてくださいね。」との予祝を送り、締めくくった。

 ☆おおしま・けいすけ 1974年1月19日生まれ、三重県桑名市出身。小学校3年のとき軟式野球チーム「正義パワーズ」で捕手として野球を始める。光風中では同校野球部に所属。名城高、名城大を経て一般企業に入社。2003年、居酒屋てっぺんを創業。06年、NPO法人居酒屋甲子園を立ち上げ、初代理事長に就任。14年、人間力大学を開校。社業の傍らメンタルトレーナーとして全国各地で講演会を行い、これまでに札幌大谷(北海道)、聖愛(青森)、釜石(岩手)、明桜(秋田)、聖光学院(福島)、国学院久我山(東京)、星稜(石川)、津田学園(三重)、京都成章(京都)、石見智翠館(島根)、高知商(高知)、海星、創成館(ともに長崎)、富島(宮崎)など100校以上に足を運ぶ。著書に「予祝のススメ 前祝いの法則」(フォレスト出版)など。