この調子なら〝2冠〟も夢ではないかもしれない。ロッテの新韋駄天・和田康士朗外野手(21)がシーズン半ばに差し掛かる中、ギアを上げ始めている。

 プロ初スタメンとなった16日の日本ハム戦でいきなり3安打3盗塁3得点の離れ業を演じ、首位攻防戦となった19日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では初回に四球で出塁後、次打者・中村の中前打で一塁から一気に生還。「(三塁の)大塚コーチが(腕を)回していたので、自分は緩めずに全力でホームを狙いました」と胸を張った。5回には中前打、7回は四球で出塁すると、すかさず二盗に成功。14盗塁でリーグ単独トップに躍り出た。

 5月末まで育成選手だった若手が今や盗塁王の筆頭候補。和田の人並外れた躍進ぶりは想像以上だろう。もっとも、そんな桁外れの俊足に周囲からは「新たなタイトル獲得」の声も浮上する。それが新人王だ。

 当初は無類の快足を生かすため、主に代走での起用が中心と思われていた。だが、今月16日から井口監督は足攻が光る韋駄天をスタメンに抜てきしているため、予想以上に打撃機会や守備機会が急増。新人王を狙える選手として注目を浴び始めているのだ。

 現在、パ・リーグの新人王争いは混とん状態にある。7月下旬からロッテの4番に君臨するプロ3年目の安田尚憲内野手(21)や楽天のリードオフマンとして成長著しいドラフト1位新人の小深田大翔内野手(24)。投手ではすでに2勝を挙げる西武・与座海人(24)や23試合で8ホールドの西武・平良海馬(20)らが有力候補だが、和田も盗塁数に加え、攻守である程度の成績を残せば候補に名を連ねる可能性は十分ある。

 かねて井口監督は「出塁するだけで相手にプレッシャーをかけられる」と評価してきた。最短距離にいる盗塁王に向けて「数が増えるにつれて相手の警戒度は高まってくると思いますが、自分の準備はしっかり怠らず、これからも走りたいと思います」と和田。その快足で新人王争いでも「ごぼう抜き」となるか。