これぞエースの貫禄だ。中日の大野雄大投手(31)が16日の巨人戦(東京ドーム)に先発し、9回を2安打1失点に抑え、3試合連続の完投で今季3勝目を挙げた。

 球団では2006年に佐藤充が5戦連続完投勝利を飾って以来、14年ぶりとなる3連続完投勝利。さらに奪った10三振は球団初の3試合連続2桁奪三振の記録となった。「味方が(前半までに)4点取ってくれたので、何とか長い回を投げたいなと思っていた。ピンチをつくるまではいけるところまでいこうと思っていた。疲れ? やっぱり疲れます」と笑顔で振り返った。

 これでチームは今季初の3カード連続勝ち越しとなり、借金は最大9から5まで減少。乗ってきたのは大野雄のおかげだとチーム内外でもっぱらだ。7月31日のヤクルト戦で今季初勝利を完投で飾った大野雄だが、その姿を見て先発陣が発奮したのが大きい。

 翌日の同戦で2年目の勝野が自己最長8回を投げてプロ2勝目をゲットすれば、翌々日の同戦で梅津が10回無失点完投の熱投を見せた。すると、右のエース・柳も12日の広島戦で1失点した8回途中で交代させられそうになると阿波野投手コーチから逃げるようにマウンドから〝逃亡〟を図るなど、とにかく先発陣が完投を目指すようになり、闘志をむき出しにするようになった。

 この効果が野手陣にも伝染。大野雄が試合をつくりながらもなかなか援護できず、開幕から6戦も勝ち星をつけてあげられなかったことで、球団関係者は「野手陣はみんな申し訳ない気持ちを持っている。これからは少しでも打ちまくってエース・大野を筆頭に先発陣にどんどん白星をつけて、中継ぎ陣に負担をかけないようにと思ってやっている」という。

 この日、2回に先制の5号ソロを放った阿部が「大野さんに援護の1点になってくれればうれしいです」と言えば、5回に2点適時二塁打を放った京田は「大野さんに最後まで投げてもらうために打ちました。僕は完投すると信じて守っていました」と燃えていた。

 さらに先発陣が整備されたことで、あるOBは「与田監督が試合中にあれこれ迷わずに自信を持って采配できるからチームが乗ってきたと思う」と指摘する。中日の投打だけでなく、首脳陣にまで好影響を与える大野雄の連続完投がどこまで伸びるのか楽しみだ。