〝男の予言〟は的中するか。巨人に期待の和製大砲候補が産声を上げた。大卒3年目・北村拓己内野手(24)が、4日の阪神戦(甲子園)でプロ1号をバックスクリーンに叩き込んだ。昨季、北村の指導に当たった村田修一二軍野手総合コーチ(39)は早くから潜在能力に目を付け、実は「坂本のような最強2番打者になれる」とまでホレ込んでいた。 

 生涯忘れられない一日だろう。試合は打球直撃のアクシデントにも耐えた菅野が7回2失点の力投で、自身2度目の開幕6連勝。チームも7―2で快勝し、2位ヤクルトを今季最大の5ゲーム差まで突き放した。

 この一戦で最もベンチが盛り上がったのは1―0の3回だった。北村が相手先発ガルシアから記念すべき豪快な一発。くしくも、この日は今年1月に入籍した夫人との間に第一子となる愛娘が誕生したばかり。自ら祝砲を打ち鳴らした新米パパも「試合が始まる前に生まれたという連絡があって、次は僕が頑張る番って思っていたので良かったです」とニッコリだった。

 そんな北村の魅力は、内外野を守れる器用さだけでなく、原監督が「ウチの若い選手の中では大型の部類に入る選手ですね」と評した長打力。昨季はほぼ二軍暮らしだったが、その才能に早くから着目していたのが村田コーチだった。殻を破る秘訣を「すでに身についている細かい野球を取っ払ってほしいな。長打で勝負してほしい」とし「そうすれば、北村も坂本のような最強2番になってもおかしくない面白みがありますね」とまで買っていたのだ。

 当の北村は男の助言をどう受け止めていたのか。「1年間、修さん(村田コーチ)の下でやって打球の強さは出てきたと思います。ただ、どうしても僕らは数字(成績)で左右される部分もあって、落ち込んだ時は当てにいったり、ヒット狙いとか…。それも大事かなと思っていたんですけど、僕に求められているのはそこじゃない。僕は小技の方が絶対に生き残れる自信がある。右打ちだったり(相手投手に球数を)投げさせて四球を選んだり。そういうのもあるんですけど、自分の得意分野を伸ばすよりも、求められていることに応えるのがプロ野球選手だと思うので。可能性を広げたい」

 小技もできて守備も〝万能〟。さらにアーチを量産できれば、原巨人の象徴でもある坂本や丸らの強打者を置く2番候補に食い込む可能性もあるだろう。

 もちろん、簡単な道のりではない。指揮官も「スタートしたばかりだから」と手綱を締めることも忘れなかった。それでも、岡本に続く生え抜きの和製大砲誕生への期待は高まる。北村は「修さんとは(本職が)同じ三塁で、打撃も似ている。打球が右にも伸びるというか。最高の形が修さんじゃないですかね。僕も最終的になりたいバッターですね。もっともっと確率よく飛ばしたい」と燃えている。

 坂本も初回にバックスクリーン弾で〝競演〟。北村は「村田2世」と化し、背番号6を脅かす存在となれるのか――。