おかわり君の満塁機が75%減! 西武打線〝分断〟の理由 

2020年08月03日 14時22分

21日のロッテ戦で4号ソロを放った中村。今季は満塁機で打席が回ってこない

 圧倒的な攻撃力でパ・リーグを連覇してきた西武の看板打線がつながらず、空転している。

 長谷川勇也外野手(35)の新型コロナウイルス感染により2日のソフトバンク戦が中止。西武ナインは試合が行われるはずだったペイペイドームで全体練習を行った。また次の遠征地・札幌には予定通り3日に移動することを球団は発表している。

 1日までの同戦5試合を1勝4敗と負け越したチームは再び借金1の4位に後退。5戦で計65三振とホークスバッテリーに手玉に取られた強力打線に持ち前の「つながり」はなく、完全に分断されていた。

 ここまで36試合を消化した西武の攻撃面スタッツは打率2割3分9厘(リーグ4位)、34本塁打(同3位)、154得点(同3位)、20盗塁(同6位)とどれも昨年とは見劣りするものばかり。

 打者個々の調子の波を含めてその要因は複合的だが、ひとつの大きな要素としては予想されていた絶対的なチャンスメーカー・秋山の移籍が打線全体のバランスを変えてしまった影響が否めない。

 昨年、FAで楽天へ移籍した打点王・浅村の穴は山川(120打点)、中村(123打点)、森(105打点)に加え外崎(90打点)とチームに数多くいるポイントゲッターの新陳代謝がそれを補い、流出の痛手を感じさせることはなかった。

 一方で、チーム内の絶対数が少なく日本球界屈指のチャンスメーカーを失った穴は簡単に埋め切れるものではない、ということが再認識させられる流れとなっている。

 スパンジェンバーグ、鈴木に二軍調整中の金子と、いまだ1番は固定できていない。2番・源田の不振も重なって森、山川、外崎、中村といったクリーンアップ以降の打者が本来のポイントゲッターとしての役割よりも、自らが好機を作り出すチャンスメーカーの役割に追われてしまっている。

 そのひとつの指標が昨年の打点トップ4の得点圏での打席数割合の減少だ。昨年、得点圏打率4割1分1厘、4本塁打、76打点と圧倒的なクラッチぶりを見せていたMVP・森の得点圏打席割合は昨年の30・2%(3・3打席に一度)から25・9%(3・9打席に一度)へ4・3%ダウン。山川も32・9%から27・9%へ5%、外崎も29・8%から21・6%へ7・2%も打席数を減らしており、その分、チャンスメークに徹しなければならない局面が増えている。

 昨年、チーム4位の90打点をマークした外崎は「ボクはオマケみたいな存在で一度の凡打で落ち込んでいるヒマはない。最初のチャンスで打てなくても、このチームは次から次へとチャンスで打席が回ってくる」と語っていたものだが、その割合自体が全体として低下しているのだ。

 そして今季の西武打線の〝分断の象徴〟となっているのが昨年、満塁で打率5割3分1厘(32打数17安打)、4本塁打、49打点という伝説を打ち立てた〝満塁神〟中村の満塁機打席の激減だ。

 昨年は557打席で35打席(15・9打席に一度)も巡ってきた満塁機が、今季はここまで120打席でわずか2打席(60打席に一度=いずれも三振)と約1/4にまで減っている。得点圏打席も29・1%から22・5%と6・6%のダウンだ。

 チャンスに滅法強い猛者たちに得点機でなかなか打席が回らず、自らがチャンスメークに追われるバランスの変化が打線の流れを寸断する…。プロ野球史上初のチーム防御率最下位でのリーグ連覇を果たした超攻撃型チームの先発防御率が昨季の5・10から4・64(3日現在)に微改善した程度では、どうにもカバーできない悪循環が起きているようだ。