ソフトバンクのウラディミール・バレンティン外野手(36)が開幕から不振に苦しんでいる。ここまで打率1割8分2厘、7本塁打、19打点(7月31日時点)と、一発の怖さは残しつつも、確実性に欠けるパフォーマンスが続く。セ・リーグからパ・リーグに移っての初年度、本人はじめ鷹陣営としても、想定外の苦戦を強いられている印象だ。

 7月が終わり、シーズンの約3分の1を消化しようとする中、これほどまでに苦しむ助っ人砲の再生を何が阻んでいるのか。バレ砲再生のキーマンでもある平石洋介打撃兼野手総合コーチ(40)が、再生へのプロセスを語った。

 バレンティンは数字がついてこない中で、打席内で焦りやいら立ちをのぞかせている。同コーチはそんな心理状況も察しながら、まず「相手からすると、何でもかんでも振りに行くのが『当たったら』『間違ったら』と思うのかというと、そうじゃないと思うんです」と指摘した。

 そして「確かに『間違ったら』というのがああいう打者はあるんだけど、ある程度、狙い球とか、失投とか、それが来るまで我慢することも大事。打席でしっかり整理して、狙い球を狙い続けるということも大事だと思うんで、そこら辺の整理というか勇気があればと思っている」と、今取り組むべきアプローチを明かした。

 ヤクルト時代に築いてきた実績は誰もが認めるところ。ゆえにマークは厳しくなり、さらにライバルはこのまま眠らせ続けようと攻めてくる。「特に長打、本塁打のある打者って攻め方は厳しくなりますから。インコースもそうだし、高めもそうだし、低めに変化球、いろんな緩急も使われる、目線もぶらされる、体の近いところに当然来るわけです」

 忍耐と取捨選択する勇気がなければ迷走に輪をかける。負の連鎖を断つためにも「状況に応じてとか、相手の攻め方(の傾向)とか、打席で狙い球をしっかり絞って、そこをやってくれれば、そこが一番かなと思っている」と我慢を求めた。

 つながりのある今のホークス打線にバレンティンの破壊力が戻れば鬼に金棒。最後に「堂々と打席で打とうが打たなかろうが『いらっしゃい!』って待っていれば、相手は怖いと思うんでね」とバレ砲の背中を押した平石コーチ。首位を走る現在のチーム状況の中で、なんとか本来の姿を取り戻したいところだ。