巨人は30日のDeNA戦(東京ドーム)で2―4の逆転負けを喫した。2位・ヤクルトに2・5ゲーム差に迫られたが、まだまだ首位の座をキープしたままだ。そんな巨人ベンチには、24日からある変化が起きている。原辰徳監督(62)を筆頭にマスクの着用を開始。この〝ハラノマスク〟を巡って、ライバル球団の間ではさまざまな反応が上がっている。

 痛い負け方ではあった。6回に吉川尚の執念の一塁ヘッドスライディングで1点を先制したのもつかの間、先発のメルセデスが直後の7回に二死から崩れて2失点。1点を追う8回一死一、三塁でディレードスチールを仕掛けたが、本塁憤死で不発に終わった。

 ただ、試合後の原監督は「(重盗は)少し選手を焦らせたかな」とナインをかばい「こういう時もありますよ。必死にやっている姿というのは、このまま継続すればいい」と前向きに締めくくった。

 5カードぶりの負け越しでややツバメの影が忍び寄ってきたが、首位はそのまま。その巨人ベンチは24日のヤクルト戦(神宮)から〝異変〟が…。首脳陣をはじめ控えや出番を終えた選手、スタッフらが一様にマスクを着用。東京都内における新型コロナの新規感染者が急増したこともあり、啓蒙活動も兼ねての措置に指揮官らチーム全体で賛同したものだった。

 このマスクは本来の用途以外にも、球界では別の意味合いでも注目を集めていた。それは相手ベンチからの読唇術を阻止する役割だ。早くから着用していた西武・辻監督は「何をしゃべっているか分からない」と意外な効果も口にしていた。

 では、普段からベンチで喜怒哀楽を隠すことがない原監督は他球団からどう見られているのか? 指揮官の場合は試合中でも眉をひそめてみたり、選手と一緒になって歓喜してみたり…と表情の豊かさは球界随一だ。

 これには、さまざまな反応が生まれた。「マスクをしていようがいまいが、あまり変わらないのではないかな。やっぱり、あの大きな目を見開いたり、細めたりすれば、その時の心情は分かりやすいと思う」(球界関係者)。やはり、古来からのことわざの通り「目は口ほどに物を言う」ということなのか…。

 一方では「当たり前だけど、何を言っているかが分からなくなった。それだけでも原監督だからこそ、勝手に不気味に感じてしまう。顔の半分しか出ていないから、やっぱり読みづらい…」との見方も噴出した。熟練指揮官の一挙手一投足を追う側からすれば、情報量が半減してしまった格好だ。ということは〝ハラノマスク〟が効果を発揮しているということになるが…。

 今ではどの球団の監督もマスクを着用し、条件としてはイーブン。相手の表情などから〝次の一手〟を見抜くのも立派な戦略の一つだ。そんな特異なシーズンの栄冠をつかむのは、誰になるのか――。