DeNA・佐野恵太が3戦連続本塁打 “筒香の後釜”を超える日

2020年07月28日 16時00分

DeNA・佐野

【赤坂英一 赤ペン!!】DeNAの主将兼新4番・佐野恵太内野手(25)が、大リーグ・レイズに移籍した先輩・筒香の域に迫る大暴れを見せている。22日のヤクルト戦から3戦連続本塁打に、24日の広島戦では逆転サヨナラ満塁弾だ。加えて、お立ち台でのコメントも実に面白い。

 2戦連発の直後には「これからも“つなぎの4番”で頑張ります!」。サヨナラ満塁弾の前は「オースティン、ロペス、決めてくれ!」と思っていたそうで「また本塁打を期待していいですよね?」と水を向けられると「期待しないでくださ~い!」と笑顔と大声で切り返してみせた。

 そんな“佐野語録”で思い出したのが、コロナ禍の前に田代チーフ打撃コーチから聞いた“佐野評”だ。昨季は代打要員だったにもかかわらず「4番も十分務まるよ」と、こう指摘していた。

「佐野は角度がいいんだよ。アレが変に上を向いたらおかしくなっちゃうんだけどな、いまの角度だったら大丈夫だろう」

 この「角度」とは、球にバットを当てる瞬間のスイングの角度のこと。田代コーチはかつて吉村裕基を4番に育てたころにも、このバットの角度と出方が大切だとしきりに強調していたものだ。ちなみに「出方」は「耳の後ろから出るのが一番いい」と田代コーチは言っていた。レベルが高過ぎて私のような素人には理解しにくいが。

 だが、だからといって、もっと「上」に飛ばそう、つまり本塁打を打とうと意識すると、自分の打撃を崩してしまうという。「変に上を向いたらおかしくなる」とは、世間のさまざまな仕事に当てはまりそうな言葉でもある。キャンプ、オープン戦までは「佐野に筒香のような主将兼4番はまだ荷が重いのでは」という声もチーム内にはあった。が、田代コーチは佐野の心中をおもんぱかってか、こう話していたものだ。

「佐野も内心ではプレッシャーを感じてると思うよ。でも、彼はそれを顔や態度に出さないだろ。不安もあるはずなのに、そんなそぶりをオレたちにまるで見せないんだ。結構しっかりしてるよ」

 ああ見えてメンタルも結構タフだというのだ。

 そんな佐野は代打要員だった昨季まで自分の応援歌がなく、昨年七夕で「応援歌ができますように」と短冊に書いた。現在、本拠地では球場外で演奏される佐野のオリジナル応援歌がスピーカーから響きわたっている。“筒香の後釜”と呼ばれなくなる日も近い。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。