西武本拠地の「名物サービス」の消滅に思うこと 時代の流れ、新型コロナ…

2020年07月27日 16時00分

【広瀬真徳 球界こぼれ話】日常的に利用しているものが突然なくなると、そのありがたみを再認識することがある。先日、西武の本拠地・メットライフドームでそんな経験をした。

 同球場における球団スタッフの「おもてなし」といえばウグイス嬢による日本ハム・杉谷拳士内野手(29)への“イジリ”が有名だが、昨季まで報道陣の間で人気だったのが球場内の充実したサービスだった。

 例えば、冷茶の入ったポットが記者席内に常備されていたり、離れた場所にある食堂から記者席内の自席に食事を運んでくれる出前対応など。その中でも特に好評だったのが試合中の「コーヒーサービス」だった。

 試合が中盤に差し掛かる3回終了時になると、飲食スタッフが記者席を巡回。報道陣一人ひとりに無料でコーヒーを配ってくれていた。この時間帯は記者が眠気に襲われる「魔の時間帯」。そんな空気を察知するかのように絶妙なタイミングで提供される至福の一杯は本当にありがたかった。

 ところがこうした数々のサービス、今季は開幕から行われていない。球団関係者に聞くと「本当は続けたかったのですが、様々な事情が絡んでしまって」とその理由を説明してくれた。

 まず大きな要因は球場周辺施設のリニューアル。これまで食事やコーヒーは記者席後方に隣接していた食堂や給湯室から提供可能だったが、敷地内の整備に伴い利用が停止に。そこに追い打ちをかけたのが「新型コロナ」だった。

「感染拡大が収まらないため、対策として人と人との接触を極力避けなければならない。従業員の安全確保も大事ですから。その中で代替案もいろいろと考えたのですが、最終的には全てやめようという結論に至った次第です」(前出関係者)

 周辺施設の整備に加え首都圏を中心に再び新型コロナが猛威を振るう現状に鑑みれば、球団の動きは当然のこと。むしろ長年無償で手厚いサービスを継続してくれた球団には感謝の気持ちしかない。それでも本拠地開場以来とも言われる西武の「名物サービス」が相次いで消滅となれば寂しさが募る。

 時代の流れや天災で当たり前の日常が次々と失われていく昨今。プロ野球界も例外ではない。これまでの小さな幸せを忘れず「新しい生活様式」に慣れていくしかない。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年、愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。