最下位にあえぐ中日浮上のキーマンは…。中日は24日の阪神戦(ナゴヤドーム)に2―5と逆転負け。首位巨人とは9ゲーム差をつけられ、借金は今季ワーストの8まで膨らんだ。与田剛監督(54)の〝迷采配〟が敗因となっているケースが多いのではとみられる中、本紙専属評論家の伊原春樹氏は、伊東勤ヘッドコーチ(57)に注文をつけた。ともに常勝・西武を知る間柄とあって「伊東がもっとしっかりせい!」と一喝した。

 試合後の与田監督は敗戦の責任を一身に背負った。1点リードの7回に一死満塁のピンチを招くと、4番手として岡田を投入。すると、北條に走者一掃の逆転適時二塁打を浴びるなど、この回に一挙4点を失い、試合が決まってしまった。

 しかも、北條の打球は間が悪いことに前進守備を敷いていた左翼・福田の頭上を越えた。もし、定位置だったら…。

 試合後、前進守備を指示した意図について与田監督は「あれが例えば速い打球でゴロが抜けたときにアウトにできたら、そういう質問にはならないと思う。あれが定位置にいたらどうだったのか、それは我々には分からないけど、結果的に前に来て頭を越されて点が入っているわけだから、それは結果論として采配ミスと書いてもらって構わない」と話した。

 とにかく今季の中日は〝采配ミス〟が目立っている。象徴的だったのが7日のヤクルト戦で、1点を追う延長10回二死満塁の逆転サヨナラ機に、野手を使い切っていたため、投手である「代打・三ツ間」を送って空振り三振でゲームセット。これはそもそも、その前のバッテリーの交代の順番を間違えたり、31人の選手登録枠をフルに使わないなど、ここまで不可解な采配を連発して、OBやファンの間から物議を醸している。

 こうした中日の事態を伊原氏はどう見ているのか。この日の一死満塁で外野に前進守備を指示していた点については「それは結果論だからしょうがない。三塁走者の1点は許しても、二塁走者をかえしての逆転だけは許さない判断をしただけだから。1点勝負をかけにいっての前進守備で結果的にゴロではなく、飛球になってしまったわけで采配ミスとは言えない」ときっぱりと指摘した。

 しかし、これまでの与田采配については…。バッテリー交代の順番を間違えたり、野手を使い切ってしまったことに関しては「ゲームを見ていて首脳陣の全員が気づかなかったことはあり得ない。監督経験もある伊東ヘッドが隣にいながら、どうして忠告してやらなかったのか不思議でならない。最終的に責任を取るのは監督ではあるけど、何のためにヘッドコーチとして伊東がいるのか。試合中に監督は先のことをいろいろ読みすぎて頭が回り切らないようなこともある。そうした監督の考えが至らないときは補ってあげて、うまく操縦してやるのがヘッドコーチの役目なのに」と苦言を呈した。

 そして、与田監督と伊東ヘッドの関係性についても「プロとして仕事としてコミュニケーションをちゃんと取ることは当然のこと。中日は投打とも戦力的に揃っていると思うし、ここにきてけが人が出ているが、首脳陣の采配や起用次第でいくらでも浮上できる。伊東ヘッドがもっとしっかりしてもらわないと」と語った。

 今後、竜が逆襲に転じるかどうかは、伊東ヘッドの手腕も大きくかかわってくる。果たして中日ベンチは、伊原氏が期待するベンチワークを発揮できるか。