阪神・藤浪の完全復活を予感させた「2時間前行動」

2020年07月24日 06時15分

痛恨の一発を浴びた藤浪だが復活も予感させた

 阪神の藤浪晋太郎投手(26)が23日の広島戦(甲子園)で今季初先発し、7回途中4安打5三振6四球4失点の内容で黒星を喫した。昨年8月1日の中日戦(甲子園)以来357日ぶりの一軍マウンドは悔しい結果となったが、矢野燿大監督(51)は「勝負にいった結果だから仕方がない」とコメント。今後もチャンスを与えられそうだ。ついに一軍の舞台に戻ってきた〝悩める右腕〟には試練を乗り越えるなかで、3つの変化があった。

 藤浪は初回に2本の安打でいきなり一死一、三塁のピンチをつくったが4番・鈴木誠を遊ゴロ併殺に仕留め無失点で切り抜けた。2回以降も0を並べたが、6回に堂林、鈴木誠へ連続四球を与えるなどで二死満塁とし、ピレラに逆転の満塁弾を浴びた。

「何としても自分自身で勝ちを呼び込まないといけなかったが、今日一番のターニングポイントで粘りきることができず、もったいない投球となった」と語る通り、この6回をしのげば2018年9月29日以来となる663日ぶりの白星も見えていただけに、悔やまれる結果となった。

 今季は苦難の連続だった。3月27日に新型コロナウイルスの感染が判明。紆余曲折を経て5月19日には甲子園の一軍練習に合流したのもつかの間、同29日に練習遅刻で矢野監督の信頼を失い、二軍落ち。降格後の初登板となった6月3日の二軍ソフトバンク戦(鳴尾浜)では「右胸の軽度の筋挫傷」で緊急降板となった。だが右腕はここから地道な調整、実戦では好投を見せ、一軍切符をつかんだ。

 復帰ロードを歩む中で3つの変化があった。1つ目は「プロを続けられるありがたさ」だ。鳴尾浜での練習では球団振興部の若いOBたちがサポートにあたっていたが、その中にはかつて藤浪と同じように将来を嘱望されながらも志半ばで引退せざるを得なかった白仁田寛和氏(34)や岩本輝氏(27)もいた。

 裏方に回った先輩らの手伝いを受けるなかで藤浪は〝自分にはまだグラウンドで汚名返上のチャンスがある。もう野球をやりたくてもできない人だっているんだ〟という思いを受け取り、改めてプロを続けられる幸せを認識したという。

 2つ目は「時間の意識」。これまでも練習遅刻をしたことがあった藤浪だが、一軍昇格後は連日、一番乗りでグラウンドへ。午前10時開始だった20日の投手指名練習でも、8時には練習場に到着し入念に備えるようになった。社会人の基礎である「5分前行動」でやらかしてしまった男が「2時間前行動」を徹底。時間に対する意識改革に成功した。

 3つ目は「投球姿勢」だ。他球団スコアラーは「特に(6回一死満塁、フルカウントから)松山を直球で見逃し三振にした場面は気持ちと感覚がマッチした投球だった。押し出しが怖くて甘い球になってしまいそうなところで、自信を持って腕を振って投げ切った。抜け球や制球難の対策をオフに行い、その養った感覚を二軍でしっかり確認してきたのでは」と語るように、苦しい場面でも攻めの投球を貫いた。

 今季初マウンドはほろ苦いものだったが、生まれ変わった藤浪を見せるチャンスは今後も必ず来るはずだ。