〝カメ頼み〟からの脱却は…首位巨人のぜいたくな悩み

2020年07月24日 06時15分

37歳の今もバリバリの亀井。若手にとって高い壁であり続けている

 首位を快走する巨人に悩ましい課題が浮上している。今季は過密日程を「総動員野球」で乗り切る方針だが、そんな中でも変わらぬ存在感を放つのが亀井善行外野手(37)だ。チーム最年長ながら、出場した20試合で打率2割9分6厘、1本塁打、9打点。昨季定着した1番以外の打順もそつなくこなしているが、その器用さが皮肉にも世代交代を遅らせる〝亀井依存〟を生んでしまっているという。 

 連勝が止まっても連敗はしない。23日の中日戦(ナゴヤドーム)は1―1の8回に無死満塁のチャンスから主砲・岡本の2点適時二塁打で勝ち越し。代打・ウィーラーの2号2ランなどで一挙5点を叩き出し、6―1で快勝だ。62歳となって初勝利を挙げた原監督は「中軸が機能してくれましたね」とホクホク顔だった。

 今季は開幕前の調整期間の短さや特殊日程をにらみ、ナインに休養を与えながら満遍なく起用する戦術が的中。若手たちも指揮官の期待に結果で応えているが、その中でも際立つのが亀井の活躍だ。

 首脳陣がキャンプから模索した重要テーマの一つは、1番に誰を据えるか。開幕後は相手投手の右、左によってオーダーを大きく組み替えているが、ライバル球団から見ると「いろいろな選手が1番に入っているけど、一番嫌なのは圧倒的に亀井だよ。長打力もあるし、初回の1打席目から粘られて先発投手がいろいろな球種を放らされることもある」(セ球団関係者)。

 ここまでの27試合で1番を務めたのは亀井、吉川尚、北村、増田大、重信、湯浅の6人。当初は吉川尚も「1番・二塁」を期待されたが、調子を維持できず、亀井が8試合でトップに立つ。加えて亀井を1番で起用した試合は6勝1敗1引き分けで、その全試合で出塁している。切り込み隊長としての安定感と相手へのプレッシャーはピカイチだ。

 守備でも外野の両翼だけでなく19日には5年ぶりに一塁でもスタメン出場した。1番以外でも5、6番をこなし、代打打率も5割(6打数3安打)。首脳陣が重宝するのも当然かもしれない。原監督も以前に「カメはどこ(の打順)でもやってくれる人ですから。チームを鼓舞する時も必要だし、少し雰囲気を変える時でも非常に貴重な選手」と評していた。

 今なお高い壁であり続けることはチームにとってもプラスであるが、実力で亀井をベンチに追いやるほどの若手が現れなければ、いつまでも世代交代が進まないのも事実だ。指揮官の心中にも、実は亀井に〝甘える〟ことへの危機感もあり「彼を抜けたら大したものだよね。そういう選手が出てくれば一番いい」とライバルの台頭を願っていた。

 その思いはチームの今後を見据える亀井も同じだ。現役選手ながら「若手が出てこないと(チームは)強くならない」と複雑な胸中をのぞかせたこともあった。この日は「1番・左翼」で先発出場し、5打数2安打でフル出場。8回の攻勢の口火を切ったのも亀井の安打で、3回には相手中堅手からのバックホームの間に一塁から二塁を陥れるスキのない走塁も見せた。

 万能のいぶし銀を起用するのは手っ取り早いが、困った時の〝カメ頼み〟が続いては未来図も描けない。柔軟な起用が続く今季こそ、背番号9を脅かす若手の出現が待たれる。