バレンティン15試合ぶり6号の陰に王会長の〝特別講義〟

2020年07月22日 06時15分

お久しぶりの6号ソロを放ったバレンティン

 絶不振のソフトバンクのウラディミール・バレンティン外野手(36)が、21日の日本ハム戦(ペイペイ)で15試合ぶりアーチとなる6号ソロを放った。直近10試合で打率はわずか5分6厘(36打数2安打)と苦しんでいた中で上げた復活のノロシ。心から敬愛する王貞治球団会長(80)によるタイミングバッチリの直接指導が生んだ必然ともいえる一発だった。本格的な復調へのきっかけにできるか――。

 試合前練習でのこと。王球団会長がグラウンドに降り立ち、バレンティンの直接指導に乗り出した。

 まずは打撃練習前に歩み寄ると「ここね、ここ」と小さいストライクゾーンを作り「あっち(高め)や、こっち(低め)全部は難しいから」と意識面を再確認。ここまでなら普段のやりとりでもある。さらにフリー打撃を終えてベンチへ引き揚げようとするバレンティンを呼び止めると王会長が熱く動いた。

 通訳を交えて10分近くに及ぶ熱烈な〝特別講義〟。バレンティンが使用していたバットを借りると、スイング軌道を作るなど手取り足取りの実践指導だった。真剣な表情で聞き入り、受け答えをしたバレ砲は、深々としたお辞儀を何度も繰り返して感謝の意を示した。

 気持ちの面で響きまくっていたことは間違いない。試合前の段階から「さすが」との声もチーム内から出ていた。まずタイミング的にも絶妙。この日のバレンティンはアーリーワークに志願参加したり、自らの状態と照らし合わせて普段と打撃投手を変えてみるなど巻き返しに燃えていた。

「合流はまだ先でもデスパイネとグラシアルが来日して見えない焦りが出てきてもおかしくないところ。それに本拠地がしばらく続く中で〝ここからやってやる〟というところでしたからね。そこに王会長のアドバイスですから。気合も入るでしょう」(チーム関係者)

 しかもバレンティンにとって、王会長が気にかけて声をかけてくれたこと自体が燃える材料でもある。シーズン60本塁打の金字塔を打ち立てた翌年の2014年の交流戦でのこと。王会長はわざわざヤクルト側ベンチまで出向き、祝辞とさらなる本塁打量産へのエールを送っている。

 気づかいの人である王会長にとっては「特別なことではない」(球団関係者)とのことだが、記録を塗り替えた者へのリスペクト姿勢にバレンティンは大感激。サインボールを受けとりツーショット撮影もしてもらっている。「尊敬する王さん」との言葉はホンネ以外の何物でもない。

 そんな中で、第1打席に飛び出した〝御礼弾〟ともいえる一発だった。状態でいえばまだ本調子ではないだろう。ただ、この王指導をきっかけとしたいところ。工藤監督も「いい感じで1本出て本人もホッとしたと思う。いい集中もできていた。明日につながると思います」と期待を込めた。