悩ましい問題だ。今季初めて勝率を5割とし「貯金週間」をもくろむ阪神だが、ここにきて各地で感染者が増加傾向にある新型コロナウイルスに改めて警戒を高める必要性が浮上している。

 東京では先週1週間で計1418人の新規感染が明らかになるなど、再び新型コロナが猛威を振るっている。その状況を警戒し、すでにチームの編成部門などは、業務予定の一部変更を決めた。実際にトレード等に備え、他球団の二軍戦力や選手分析を行うプロスカウト部門などは28日から予定していたイースタン・リーグ視察を取りやめた。

 視察予定だった戸田と西武第2は埼玉県、横須賀は神奈川県で「東京」ではないが、電車移動が可能な首都圏内であることに変わりはない。万が一にも現地で感染し、ホームタウンに持ち帰ることだけは許されないという危機管理をもとに判断したという。

 高校野球の代替試合で活動中のアマスカウトにも同様の懸念は常にある。例年なら各都県の決勝戦クラスは各地域の担当が集い、より客観性を高めた形で視察する「クロスチェック」を行うのが慣例となっているが、現状の首都圏のコロナ感染状況では、大所帯での視察は慎重にならざるを得ない。

 チーム本隊は21日から本拠地・甲子園での広島3連戦を終えると、24日からはナゴヤドームで中日3連戦、28日から神宮でヤクルト3連戦と約3週間ぶりに1週間の遠征が控えている。フロント部門のように関西に〝籠城〟するわけにはいかないが、15日からはベンチ内でのマスク着用を始めるなど、これまで以上に感染予防対策に気を割いている。

 いずれにしても今年の猛虎の東京における「夏の陣」は現場もフロントも、コロナ感染防止への警戒レベルを最大級に押し上げて臨むことになりそうだ。