代役4番を任された鷹の仕事人が普段と変わらぬ働きぶりで躍動し、打線をつなぎ合わせた。ソフトバンクの選手会長・中村晃外野手(30)が、17日のオリックス戦(京セラ)でプロ初の4番に座りチームを勝利に導いた。

 初回、いきなり一死一、三塁の場面で打席が回ってくると、きっちりと左犠飛を放ち先制点を叩き出す。4回の第2打席では無死一塁から四球を選び勝ち越し点につなげ、続く5回の打席では無死一、二塁から右前打を放ってチャンスメーク。7回の第4打席でも中前打で出塁した。

 初の4番に中村晃は「昨日まで5番だった。そんなに(心境の変化は)ないですね。全部の打順を打った。それくらいですかね。いきなりホームランバッターになれないので」とクールに淡々と話した。

 かねて工藤監督は中村晃を「つなげることもできるし、決めることもできるし、チャンスメークもできる」と高い信頼感を口にしてきた。帝京高時代は4番で通算60発を記録したスラッガーだったが、プロではしぶとい打撃で存在感を発揮。2014年には最多安打をマークした。四球も多く出塁率も高い。鷹打線の陰のキーマンともいえる打者だ。この日も自在な活躍で「つなぎの4番」としての役割を果たした。

 一方で心配なのが本来の4番であるバレンティンの絶不振だ。前夜の試合でも満塁で併殺打に倒れるなど3番・柳田が四球で歩かされて、その後に打ち取られるシーンも目立ち、この日は「打線のつながりを考えて」と5番に“降格”させた。しかし、この日も好機で三球三振、2併殺など4タコで打率はついに2割を切るなど効果なし。

 貯金を今季最多タイの2としたソフトバンク。奪首に向けた本格上昇へバレ砲の復活が待たれるところだ。