2012年 日本ハムドラ2森本龍弥さん 同期の大谷を見て「こいつには勝てないわ…」

2020年07月18日 11時00分

ルーキーイヤーの沖縄キャンプでオフを楽しむ(左から)森本さん、大谷、ドラフト4位の宇佐美塁大〈右下は現在、日本営業大学に通う森本さん〉

【異業種で輝く元プロ野球選手】「再就職の前に、まずは社会の基礎を知りたかったんです」。そう語るのは昨年まで内野手として日本ハムに在籍した森本龍弥さん(26)。2012年のドラフト2位。同年の1位は二刀流で大リーグを席けんする大谷翔平だったことから、注目の年だった。

「初めて会った時は萎縮してしまいましたね…。それこそ入団前は『絶対勝ったろう!』と思っていたんですが、新人合同自主トレ中の翔平の打球を見て『こいつには勝てないわ』ってなりましたね(笑い)」

 順調にスター街道を進んでいく同期の星とは対照的に、森本さんは度重なるケガに苦しむ現役生活を過ごした。18年オフには支配下登録を解除され、育成契約での再スタートとなったが支配下復帰はならず翌年退団。12球団合同トライアウトを受けたのち「知人の紹介で現在、籍を置いている日本営業大学の中田仁之学長に出会い『正直、社会には野球よりもっと面白いことがある。自分で道を切り開いていけるはずだ』と言われ、入学を決めました」。独立リーグや社会人野球で現役を続けたり、引退後すぐさま再就職する選手が多い中で、職業訓練のような講義を受ける森本さんのような例は異例とも言える。同校は引退したアスリートのセカンドキャリアを支援する目的で今春開校。選択したコースに応じて2~3か月の間、講義を受講し、その後同校に登録された企業への就職活動を行い、社会へと羽ばたいていく。学費も格安で入学金が3万円、就職後に3年間、月5000円を支払っていくシステムになっており、金銭的負担も少ない。

 森本さんは「社会人基礎コース」を受講中だ。「僕のコースでは会社でのコミュニケーションの取り方や営業で使える対話の方法など、基礎中の基礎を学んでいます。野球一本の生活でバイトすらしたことがなかったので、履歴書の書き方も分からない(笑い)。本当に初歩的なことから教えてもらっています」

 そんな森本さんだが、講義を通して元アスリートならではの強みも見えてきたという。「授業の中でよく言われるのは、アスリートはコミュニケーションや協調性を取ることが得意だ、ということ。これまで特に意識することなく普通にコミュニケーションを取ってきましたが、講義の中で掘り下げて教えてもらっていく中で、今まで野球で得てきたコミュニケーション方法は間違ってなかったんだなと思いましたね」。唯一の不安は「真夏に毎日スーツを着て、果たして会社までたどり着けるのか」と言って笑った。

 森本さんは個性を生かし「人と接するのが好きなので、まずは営業関係の仕事に就ければうれしいです」と話す。一方で将来的には「野球界への恩返し」も夢として持っている。「最近ふと、野球人口が減少している理由はなぜなんだろう、と考えることがあって。大きな理由の一つに野球道具などコストの高さがあると思う。質が良く、かつ安い道具を世に出せる仕組みを作れないかな、と。将来的にはやっぱり野球界に恩返しがしたいですね」

 まずは社会に出て「誰かの下で働かせてもらって、一から勉強させてもらうのが今は楽しみです!」。大きな夢の実現に向けて、社会への一歩を踏み出そうとしている。


☆…もりもと・たつや 1994年生まれ。兵庫県尼崎市出身。富山・高岡第一高を経て2012年ドラフト2位で日本ハムに入団。14年にはフレッシュ球宴に出場。17年4月13日のソフトバンク戦でバンデンハークからプロ初安打を放った。その後はケガに悩まされ、18年オフに支配下登録を解除。球団初となる育成選手として再起を目指したが、19年オフに退団。現在は引退後のアスリートのセカンドキャリアを支援する日本営業大学で職業訓練を受けている。