愛甲猛氏が〝危険球〟エール「阪神・藤浪よ、江夏さんに話を聞け!」

2020年07月17日 11時45分

13年2月、阪神・藤浪の投球を見守る江夏氏(右)左上顔写真は愛甲氏

 現在二軍調整中の阪神・藤浪晋太郎投手(26)が16日のウエスタン・リーグのオリックス戦(オセアンBS)に登板し、7回4安打無失点と好投した。今年3月に新型コロナウイルスに感染。その後に集団での食事会に参加していたことが判明し、世間から猛バッシングを受けた。さらに復帰後の練習への遅刻が矢野監督の怒りを買い、二軍へ懲罰降格と散々な日々を送ってきたが、下位に低迷するチームの起爆剤として一軍復帰も見えてきた。今後は、どうすべきなのか。球界きってのアウトローの専門家・愛甲猛氏(57)が緊急提言を送った。


 藤浪にはね、入った時からものすごい期待をしていたんですよ。ちょうど彼のドラフトのとき、元ヤクルトのスカウト部長だった片岡宏雄さんと話す機会があって「大谷と藤浪はどちらがプロで成功するか?」という話題になった。

 片岡さんは「間違いなく藤浪だ。大谷は体質的に太る。野手としては成功するかもしれないが、投手としてのポテンシャルは藤浪の方が上だと思う」と。オレもまったく同じ意見で、ずっと注目していた。今ではすっかり差がついてしまったけど…。オレはまだ、170キロを先に出せるのは藤浪の方じゃないかと思っているぐらいだ。

 あれだけ上背があって腕が長い投手は、これまでの日本人投手にいなかった。だから、手足の長さを生かす指導を誰もができない。そこが藤浪の不幸なところだとずっと思っていた。ただ、メンタル面での指導に関しては、いいお手本がたくさんいる。今の世代の若い子には、ひと昔前の精神論的な話は伝わりづらいのかもしれない。だけどオレから言わせてもらえば、藤浪はマウンドで優しすぎる。別に嫌われたっていいじゃないか。もっと、憎たらしいぐらいのふてぶてしさがあっていい。

 オレも「生意気だ」「アウトローだ」なんだといろいろ言われてきたが、そんなオレのヒーローは江夏豊さんだった。小学生のころからマウンドでの江夏さんのふてぶてしさがカッコ良くて、あこがれの存在だった。プロに入って、日本ハム戦の後楽園球場、ロッテの大先輩の村田兆治さんに連れられて外野でランニング中の江夏さんに初めてあいさつできた時は感動した。「欲しいものあるか?」と言われて、もらった江夏さんのグラブは今でも宝物だ。

 藤浪も、そんな江夏さんのような存在の投手にならなきゃいけない。江夏さんにたくさん話を聞きに行って、アウトローの極意というか、マウンド度胸のなんたるかを教えてもらえばいい。ぶつけたらどうしよう、コントロールがどうこうなんて、細かいことを気にするより前に、やらなきゃいけないことだと思う。


 藤浪には一軍で結果を残すだの、小さなところを目指すよりも、もっと高いところを目指して自分を磨いていってほしい。そして将来的には、長い手足の投手を指導した経験が豊富な指導者のいるメジャーでのプレーを見てみたい。まだまだ大谷との「どちらが上か?」という議論には、結果が出たわけじゃない。

 

☆あいこう・たけし 1962年8月15日生まれ。神奈川県出身。横浜高で80年夏に全国制覇を達成し優勝投手となる。同年秋、ドラフト1位でロッテ入団。3年間の投手生活の後、打者転向。96年に中日移籍、代打の切り札として活躍し、99年の優勝に貢献する。2000年に引退。535試合連続フルイニング出場は当時のパ・リーグ記録。球界の裏側を暴露した著書「球界の野良犬」(宝島社)などで球界を騒然とさせた。現在はタレント、解説者、ユーチューバーとしてマルチに活躍中。


【今季ここまでの藤浪】
 3月14日 大阪市内で知人らと会食し、21日に嗅覚の異常を訴える
 3月24日 病院を受診し、26日にPCR検査を受ける。27日に球団が陽性を発表。チームは活動停止に
 4月7日 入院していた病院を退院し「軽率だった」「多大なご迷惑とご心配をおかけした」と謝罪
 4月23日 記者会見に臨み、おわび。24日から自主練習開始
 5月19日 甲子園室内練習場での分離練習に合流。「野球ができてうれしい」
 5月29日 28日の練習に遅刻したことで二軍に懲罰降格していたことが明らかに
 6月3日 練習試合に登板も右胸の張りを訴えて3回途中で緊急降板
 6月19日 日本生命との交流戦で1回1安打無失点
 6月26日 ウエスタン・リーグのソフトバンク戦で3回1安打無失点
 7月5日 ウエスタン・リーグの中日戦で5回無安打無失点