喜んでばかりもいられない。巨人は16日の広島戦に4番・岡本ら3発の花火で9―4と快勝。鬼門マツダスタジアムで2011年以来9年ぶりの3連戦3連勝を飾った。ベンチはお祭り騒ぎだったが、キャプテンの坂本勇人内野手(31)だけは6戦26打席連続無安打とひとり蚊帳の外。ライバル球団の偵察部隊は左脇腹の違和感から打撃が崩れていると指摘し「ファームで休んだ方がいい」とまで言う。

 本当にここが鬼門だったのか。初回一死一、三塁から岡本の内野ゴロの間にあっさり先制すると大城が右中間スタンドに特大の1号2ランを叩き込み3点をリード。1点差に迫られた6回には吉川尚が3号2ランで突き放し、7回に岡本が3戦連発となる8号2ランでトドメを刺した。先発メルセデスは6回2失点で広島戦通算9試合目の登板で初白星を挙げた。

 丸が2犠打を決めるなどチーム一丸での勝利。17~18年にかけて13連敗し、昨季も4勝7敗1分けとサッパリだった敵地での3連勝に原監督は「先制、中押し、ダメ押しね。良かったと思います」とうなずき、パン、パンと手を叩き「神様に感謝だね」と笑った。

 そうなると気になるのはこの日も快音が聞かれなかった坂本だ。初回無死二塁の好機では進塁打にこそなったが、二ゴロに倒れた。3四球を選んで勝利に貢献はしたが、7回の守備で交代。ここ6試合で26打席連続無安打。打率も2割2分1厘まで下がった。

 原監督は「いいつなぎをしたといいますかね、丸も含めてね。そのうち(安打が)出るでしょう」と意に介していなかったが、坂本は9日の阪神戦で左脇腹の違和感からスタメンを外れている。その点に着目しているのが、他球団の偵察部隊だ。

 あるチームのスコアラーは「坂本は左脇腹をかばっているのか、バットを振り切れていない。内角の球をさばけないからベースから離れて立っている。外角球を追いかければさらに脇腹に負担がかかる悪循環に陥っている」と指摘。それどころか「このまま出続けて悪化させるより、ファームで休んで回復に努めた方がいい」とまで言う。

 もちろん、原監督も慎重を期している。降雨中止となった10日のヤクルト戦前には「本人は(スタメンで)いくという状況だったんですけど、昨日より良くなっているので、それなら1日、もう1日ちょっと俺に預からせてと」と手綱を引いたように大事に起用している。

 16日現在、巨人は貯金6で2位ヤクルトに1・5ゲーム差をつけた。キャプテンが復調すれば一気にVロードを独走しそうだが、果たして。