新井さんへの弟子入りで…広島・堂林は「独自スタイル」つかめたのか

2020年07月14日 12時20分

11年目にして開花した広島・堂林

【赤ペン! 赤坂英一】カープの“プリンス”堂林翔太内野手(28)は、今年こそ一軍に定着できるのか。それともやっぱり、また“1・5軍”の選手に逆戻りしてしまうのか。

 今季は6年ぶりに「7番・一塁」で開幕スタメンに入り、2試合目で4安打と爆発。8日の本拠地のDeNA戦で久しぶりに三塁を守り、同点タイムリーに逆転満塁3号本塁打を放った。まだ14試合目だったとはいえ、この時点で打率4割1分5厘は堂々のリーグ1位だ。

 かつて甲子園のアイドルだった堂林も今年で11年目。この活躍が本物であってほしいと願う一方、また尻すぼみに終わるのではという一抹の不安も拭えない。

 堂林はこれまで新井宏昌(現ソフトバンク)、石井琢朗(現巨人)打撃コーチ、先輩の新井貴浩氏と、名球会入りした元大打者たちから熱心な指導を受けてきた。私も2016、17年と、当コラムで日南キャンプでの練習ぶりを伝え、堂林への期待をつづっている。

 ここまで伸び悩んだ最初の要因は、こらえ性がなかったことにある。野村元監督時代の堂林は、指導者に新たな打ち方を教わっても、結果が出ないとすぐ言うことを聞かなくなり、調子のいい別の打者のまねをしたりしていたものだ。

 それならと15年オフ、石井、東出輝裕(現二軍)両打撃コーチは、新井に弟子入りするよう堂林に勧めた。堂林は新井のバットを使い、一緒に練習して、ヘッドを投手に向ける新井流のフォームに改造。オフには鹿児島・最福寺での護摩行にも挑戦した。

 そんな堂林を評して「彼は着実に成長していますよ」と新井は太鼓判を押していた。ただ、そのころの広島は鈴木誠、西川ら堂林の後輩が台頭し、16年から3連覇を達成。「堂林のレベルは上がってるんだけど、周りのレベルが彼以上に上がった。だから一軍のレギュラーに割って入れない」と、新井は歯がゆそうに語っていた。

 しかし、そのころから東出コーチは「堂林は確実によくなってます」と断言していた。「ヨソのチームなら7~8年でクビでしょうけど、10年かかってもとことん鍛え上げるのがカープですから。そのうち堂林も出てきますよ」と。

 現在の堂林は新井の打ち方を取り入れた上で、ようやく独自のスタイルを確立したように見える。今度こそ自分の打撃をつかんだのだろう、と思いたい。


 あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。