散見されるプロ野球選手の「気の緩み」 国難の中で野球をやっている自覚を!

2020年07月13日 16時00分

首脳陣のマスク装着が徹底されている中日。中央は与田監督

【広瀬真徳 球界こぼれ話】先週10日からプロ野球の有観客試合が始まった。新型コロナ禍の終息が見えない中での観客受け入れには賛否両論あるとはいえ、今のところ大きな混乱はない。このまま感染者を出さないよう球場関係者やファンが細心の注意を払えば今後もプロ野球シーズンは続けられるだろう。

 ただ、一つ気がかりなこともある。選手を中心に散見されるようになってきた「気の緩み」である。無観客による練習試合が始まった6月初旬、どの球団もベンチの首脳陣や球団職員たちはマスクをして予防を徹底。選手も意識的に座る場所や立つ位置を考慮するなど感染対策に気を使っていた。それからおよそ1か月を経た現在はどうか。

 先週のパ・リーグの試合では、選手たちがベンチ内で距離を置かないどころか、3、4人がマスクなしで雑談をしている姿が目立った。別の試合では某外国人選手が本塁打を放った際、久しぶりの一発に気分がよかったのかベンチ内で興奮気味に談笑。ナインや球団関係者と長時間話し込む光景も見られた。

 試合中、選手同士による戦略上の話し合いは必須で、打者が一発を放てば興奮するのは当然のこと。これはプロ野球だけでなく、スポーツ全般で起こりうる反応で本来ならとがめられることではない。

 だが、社会全体が新型コロナウイルスに対する感染拡大予防に神経をすり減らす今、こうした行為は野球に対する世間一般の心象を悪くしてしまう。球界全体が必死になって「ファンに元気を」と叫んだところで、野球に無関心な人には関係ない。むしろ「感染拡大が止まらない中で野球なんてやっている場合か」と球界に批判の矛先が向く可能性も否めない。

 球界関係者は選手を含め、ほぼ全員がPCR検査等を受けている。一部選手は「俺たちは大丈夫」と安心感を抱いているのかもしれない。だが、東京都では9日から12日まで4日連続で200人超の新たな感染者が確認され、10日は過去最多となる243人に達した。選手や球団関係者の中には家族を持つ人が多い。検査の有無に関係なく、誰もが感染危機に直面しているのが現状である。

 今後、球団や球場内で感染が拡大すれば、シーズン中断という最悪のシナリオもありえる。そうならないためにも選手にはいま一度「国難の中で野球をやっている」という自覚を持ちながら、できる限り感染予防に努めてもらいたい。

 

 ☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。