阪神の暴れ馬コンビに明暗…青柳と藤浪どこで差がついた?

2020年07月09日 06時15分

出遅れた藤浪(左)と安定の青柳

 阪神の〝右の柱〟を期待された2人はどうして明暗が分かれたのか。今季2試合に登板して1勝、防御率0・75と抜群の安定感を誇る青柳晃洋投手(26)と、もう一人は復活を期しながら、新型コロナ感染や右胸筋の挫傷で開幕二軍と出遅れた藤浪晋太郎投手(26)だ。

 青柳は右横手、藤浪はスリークオーターと投球フォームこそ異なるが、ともに力強い直球とキレのある変化球が武器。直球はシュート軌道で、特に右打者は打ちづらくなるが、それゆえリリース時のタイミングのズレで〝抑え〟が利かなくなった直球が抜け、右打者への死球になったり、引っ掛けた変化球が左打者への足元へと投げ損なうこともある。

 実際に青柳は9勝した昨季、143回1/3を投げて12死球、藤浪も14勝を挙げた2015年には199回で11死球と「荒れ球」は持ち味でもあり、成績を残したシーズンに多く与えるという共通点もある。

 ただ藤浪は近年、この持ち味を生かし切れず苦しんでいる。メンタルを原因に挙げる関係者は多いが、技術に目を向けると違いは何か。実際に2人と対戦経験があり、現在はスコアラー業務に携わる球界関係者は「直球系の球が抜け、ぶつけてしまうのは2人とも右打者が多いと思いますが、いい意味でそれを武器にした投球ができるか否かが問題。そういう意味では逆に左打者のインコースを変化球で攻めきれているか否かがポイント」とし、こう続けた。

「青柳は今年、さらに左打者へのカットボールを有効に使っている印象。もともと左打者を苦手にした傾向があったかと思う(19年の対左打者の被打率3割1分8厘)が、今季はそこが大幅に改善されていると思う」。今季の青柳の対左の被打率は1割5厘と大幅に改善されている。

 一方の藤浪は「右打者に直球が抜ける傾向がある分『左打者への変化球まで曲がって当てたら…』と、左打者の内側へ曲がる変化球をほとんど投げなくなった。いいスライダーを投げるのに、左打者へは外角への球が多い。これを内側に投げ込めるか。今年の青柳がそれをできているだけにね」(同)と指摘。両者の大きな違いは右であろうが、左であろうが「打者の腰を引かせる」球種を投げきれる勇気ということだ。

 2人のフル稼働は今季の猛虎に欠かせない。躍進する青柳の雄姿には藤浪完全復活のヒントも隠れていそうだ。