今こそボーアに学べ――。チーム打率2割2分1厘、41得点ともにリーグワーストで最下位にあえぐ阪神にOBから珍提案だ。

“バースの再来”とまで言われ、不動の4番打者として期待された新助っ人ジャスティン・ボーア内野手(32)は開幕から6月末まで打率1割台で0本塁打と低空飛行し、早々に4番も外された。それが7月に入って1日の中日戦で苦手な左投手(岡田)から来日初アーチをマークすると調子も上昇。5日の広島戦では2打席目に決勝の2号満塁弾を放ち、今や7打点はチームトップだ。

 それでも無双というわけではない。満塁弾を放った5日の広島戦でも本塁打の打席以外は3三振&三邪飛と、お世辞にも褒められた結果ではなかった。しかし、その点にこそ「ドツボにハマらないための要素が詰まっている。気持ちもバットも振り切っているからこそ、こういう結果も生まれる」と力説するのが、阪神、日本ハムで一軍打撃コーチも務めた球団OBの柏原純一氏(68)だ。

 ボーアについて「そもそもこういうひと振りの『怖さ』があるのが最大の長所でもある選手」と評し、長所を発揮するために凡退の打席も必要不可欠な要素だったと訴える。打線全体が低調な阪神ではこの割り切りが大切で「小手先に走らなかったボーアの姿勢は見習うべき」というわけだ。

 振り返れば今季初のカード勝ち越しとなった広島遠征前まで、チーム打率2割1厘で1試合平均2得点と攻撃陣は総崩れ状態だった。この点についても柏原氏は「2日の中日戦までは技術うんぬんより、みんなが精神的にヤラれていた。気持ちばかり先走って、バットが振れない、ヘッドが走らない。みんな頭と体が突っ込んだような状態で『最低限、〇〇はしないと』と心理面だけがスイングに表れた状態で、決して自分のスイングを貫いたというふうには見えなかった」と言う。

 凡打を恐れず、まずはバットを振り切る。ボーアが見せた姿勢は猛虎打線復活のヒントになりそうだ。