【赤ペン! 赤坂英一】DeNA・ラミレス監督が開幕直後から意欲的に動いている。まず本業の打撃で1番・梶谷、2番・ソトに個別指導。試合前の練習中、自らバットの出し方を示し、身ぶり手ぶりを交えながら助言を送る姿が見られた。特に復活を期待して開幕スタメンに抜てきした梶谷には「インサイドアウトのバットの出し方や足の踏み出し方」を伝授。自らティー打撃の球出しまでしていたほど。


 ラミレス監督はまた、オースティンへの信頼の厚さも強調。開幕3連戦はヒジの張りでスタメンから外したが「私が見た中で潜在能力は一番。日本で長く活躍してスーパースターになる可能性がある」と絶賛している。


 新4番・佐野も含め、野手の起用法はおおむね的を射ている。それでは投手陣に対する信頼度はどうか。DeNAファンが心配になったのは6月30日、巨人戦での継投失敗だろう。


 2―1の6回、浜口が先頭・増田大を四球で歩かせ、丸が二ゴロ併殺崩れとなって一死一塁。ラミレス監督はリクエストしたが判定は覆らず。すると、この場面で突然好投していた浜口を降ろしたのだ。


 浜口はここまで88球、被安打3、失点1だったから、少々驚いた表情。その後、代わった国吉が岡本、パーラに打たれて逆転され、試合も2―5で落としてしまった。ラミレス監督は「浜口は5回までは素晴らしい投球だったが、6回には球速が落ちていたから」と、こう説明している。


「スタミナに問題があるように見えた。前回(6月23日)の中日戦で130球以上(8回1/3で133球)投げた影響もあったのかな。正直、5回までかとも考えた。浜口には勝ち投手になってほしかったんだ。無理に引っ張って、負け投手にしたくなかったから」


 ラミレス監督は浜口の前回登板の試合前にも、こうコメントしている。


「ずっと言っていることだけど、浜口の使い方はデイ・バイ・デイ。まず6回までしっかり投げて試合を作ってほしい。彼には10勝できるだけの力はあるが、その日その日の投球内容を見て使い方を考えていきたい」


 その夜の中日戦で浜口は無失点で今季初勝利を挙げた。が、「スタミナが問題」とするラミレス監督の評価は変わらなかったのだ。浜口の次回登板予定は来週火曜。そこで指揮官の信頼度を上げられる投球ができるか。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。