巨人の5年目右腕・桜井俊貴投手(26)が2日のDeNA戦(東京ドーム)で8回2安打1失点と力投し、今季初勝利をマークした。

 堂々の内容だった。4回まで無安打無失点。好調の新助っ人オースティンら強力ベイ打線に1本の安打も許さず、試合を操った。そんな力投する桜井に相性のいい「相棒」がアシストする。0対0で迎えた4回、この日マスクをかぶった炭谷が一死一、三塁の好機に右中間に2点タイムリーで援護した。このコンビ、昨季7試合バッテリーを組んでいるが、なんとその試合で炭谷は3本塁打、11打点とバカ打ち。コロナ禍でシーズン開幕が遅れても「先制点が取れて良かった」と頼れる女房ぶりは健在だった。

 打線は1点リードの8回、中島、パーラ、そして炭谷と3者連続タイムリーが飛び出し、再び桜井を援護してみせた。5回には先頭の宮崎に被弾し、6回には二死一、二塁のピンチを招いたが4番・佐野をカウント1-2から内角へ直球をズバリと決め見逃し三振。不調が目立つ中継ぎの負担をなんとか減らしてほしいと願う首脳陣の願いに応え、先発陣では今季初めて最長の8回を投げ切った。

 力投する桜井の舞台裏ではドラマがあった。ブルペンに入っていたのは背番号15。前日に指揮官から「公開説教」を受けたばかりの澤村だった。前日は1点リードの8回、4番手でマウンドに上がったものの、2四球を与え降板。その後、オースティンに逆転打を浴び敗戦投手になった。原監督はベンチで澤村を呼びつけ座らせると説教。そのまま失意の澤村を放置した。

 原監督は澤村への信頼、起用法について問われると「いやぁ、ま…だから、そこは…まぁまぁ、そうしとこうかね」とケムに巻きながらも、やはり〝マウンドの借りはマウンドで返せ〟ということだったのだろう。結局、出番こそなかったが、澤村の意地と負けん気にかけた指揮官は、まさに「やれんのか! おい!」とばかり、スタンバイさせたのだ。

 中継ぎ陣にも活を入れたといっていい、今回の桜井の熱い投球。他の投手も見習ってほしいものだ。