ソフトバンクは1日の日本ハム戦(札幌ドーム)に4―0で勝ち、連敗を3で止めた。先発の石川柊太(28)が毎回の10三振を奪って6回無失点の好投。前回、西武戦で早々にKOされた右腕が雪辱の今季初白星を挙げた。

 石川の熱投に打線が報いた。この日は前日からオーダーを大幅に変更。3試合連続で2番で起用した柳田を定位置の3番に戻し、5番には川島、6番にはバレンティンを配置。調子の上がらない助っ人砲が初めてクリーンアップから外れた。

 オーダーはこれで開幕11試合目で10通り目。これが奏功した。1ー0の6回、一死から長谷川が左翼線を破る二塁打でチャンスメーク。続く川島が粘り強い打撃で中堅へ貴重な適時打を放つと、二死後に上林にも適時打が生まれ、この日の石川には十分すぎる援護点をプレゼントした。

 7回には、柳田がダメ押しの適時打。10回引き分けに終わった前日は4回以降無安打、先月28日の西武戦も3回以降無安打と2試合連続で貧打に泣いたチームが、必死のオーダー変更で「つながり」を取り戻した。

 勝つには勝ったが、素直には喜べない。6番に降格したバレンティンが23打席無安打。調子を落として8番での起用が続く松田宣は12打席無安打。主力2人の状態が上がってこないからだ。ともに打率は1割台。浮沈の鍵を握る主力の低迷が長引けば、今後もチームに大きな影を落としかねない。

 もっとも、工藤公康監督(57)の主力への信頼は揺るがない。指揮官が試合前、熱い思いを託したのは松田宣だった。「(松田宣に)言っているのは『こういう時ほど元気を出さないとダメだよ』ということ。それはバッターの人だって打てない時、調子が悪い時はある。『そういう時こそ元気を出して、絶対に下を向くな』と。誰にでも起き得ることなんでね。『下を向くよりも上を向いて、どんな結果だったとしても胸を張って帰ってこい』と言っている。アイツの声は響く。アイツが打つと盛り上がるんでね。僕はいつか(復調の時が)来ると信じている。だから、アイツも(自分を)信じて頑張ってほしい」。チームのモチベーターとして唯一無二のベテラン。熱すぎる叱咤激励で、苦しむ熱男の背中を押した。

 連敗を止めたソフトバンク。あとは懸案の主力に当たりが戻ること。工藤監督は信じている。