〝恐怖の2番〟が覚醒した。巨人の主将・坂本勇人内野手(31)が、25日の広島戦(東京ドーム)で、一時逆転の一打となる今季1号2点本塁打を左中間スタンドに叩き込んだ。第2打席には日本プロ野球史上44人目となる350二塁打を放つなど大暴れ。昨季40ホーマーを放った、豪打がついに戻ってきた。

 打った瞬間、〝確信歩き〟こそしなかったが、打球の行方をクールに見送ると、背番号6はゆっくり一塁へ走り始めた。1点ビハインドで迎えた5回一死一塁で打席に立った坂本は、1ボールからの2球目、広島先発・遠藤が投じたスライダーを一閃。「甘いボールを一振りで仕留めることができたので良かったです」という打球は、左中間スタンド最深部へ吸い込まれた。うれしい今季第1号は、さすがキャプテンの逆転アーチだった。

 パワーだけではない。3回の2打席目には外角低めの147キロの直球を体勢をやや崩しながらも右翼線に運ぶ、技ありの一打。31歳6か月の坂本にとっても、史上2番目の若さで350本目の二塁打を達成した。

 頼れる主将を陰で演出したのは、ベテラン・亀井の存在だった。この日、今季初めて1番に座ると2四球を選び出塁。5回の坂本の逆転弾も、1番・亀井の四球からだった。粘りの打撃で相手投手の全球種を引き出す、そして自慢のクリーンアップへ引き継ぐ――。昨季生み出された得点パターンが打線のリズムを作り出し、昨季打ちまくった「あの坂本」をよみがえらせた。

 試合は7回に2番手・澤村が崩れ、再び広島にリードを許したものの、8回に4番の岡本が右中間に一発を放ち同点に持ち込んだ。結局、延長10回で今季初の引き分けとなったが、勝負強い背番号6の存在は何よりも嬉しい。