開幕カード3試合で6得点だった“眠れる獅子打線”を起こしてしまった。ソフトバンクが23日の西武戦(メットライフ)に3―11で敗戦。来日初登板のマウンドに臨んだ先発のマット・ムーア投手(31)が6失点KOをくらい3連敗を喫した。

 立ち上がりこそ無失点だった。しかし、2回に二死満塁のピンチを招くと、西武の新助っ人・スパンジェンバーグに2球続けた直球を捉えられバックスクリーン右に1号グランドスラムを被弾した。3回には自らの失策などで再び満塁とされて栗山への押し出し四球で5点目。4回には森に左前適時打を浴びて追加点を許した。

 4回を7安打3四球6失点。降板後は「四球やエラーなど打たれる以前に自分で自分を苦しめてしまった。もっとストライクゾーンで勝負しなければ自分の投球ではない。チームに申し訳ないし、絶対にやり返さないといけない」と次回登板でのリベンジを誓った。

 2013年に米球界で17勝(4敗)をマークするなど、3度の2桁勝利を誇る実績十分の左腕だ。昨季こそ右ヒザに打球を受けて手術した影響で2試合の登板に終わったとはいえ、推定年俸3億8000万円で獲得した期待の新助っ人でもある。オープン戦では3試合に登板して8回2/3を5安打無失点。13三振を奪う圧倒的な投球を見せていた。

 ただ、開幕が3か月ズレ込む中で調整の難しさがあったのか、開幕前の練習試合では失点も目立っていた。しかも、初登板がマウンドが低く感じるとされるメットライフドームでの西武戦だ。「投げにくいところがあるかもしれない」(チーム関係者)と心配する声も出ていたが、結果的にデビュー戦は悔しい黒星となってしまった。

 工藤監督は「初登板というところもあったし、初めて対戦するということで、首を振ったりしている場面もあったらしく、僕の方では見えない部分もあった。もう1回、(バッテリー)ミーティングですり合わしてもらって、次にいい投球をしてくれれば」と話した。

 リーグ一の破壊力を誇る西武打線は開幕カードの日本ハム戦で沈黙しており、そのまま眠らせておきたいところだった。しかし、2番手以降も投手陣が乱調で11安打11四球で11失点を喫した。初の同一カード6連戦。大事な初戦で嫌な滑り出しにもなってしまった。