阪神は23日、兵庫・西宮市内の甲子園球場で行われたウエスタン・オリックス戦を、今季初めて観客を入れた形で開催した。

 開放されたのはバックネット裏席中段のみ。ファンクラブの抽選に当選した観客約228人が、ソーシャルディスタンスを確保した形で、まばらに席に着いた。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、観客にはマスクの着用が義務付けられ、入場時にはサーモグラフィーによる検温も実施。体温37・5度以上が検出された場合は入場不可となる。

 ジェット風船、鳴り物を使った応援の禁止は当然ながら、声を上げての応援、ファン同士でのハイタッチも禁止。選手たちの好プレーには、拍手で応じるのみとなった。スタンド内にはビールなどの売り子もいたが、決して売り声を上げることはなく、静かにプラカードを掲げながら客席内を巡回するのみ。平時ならばこれ以上なく騒々しい甲子園のスタンドは、終始奇妙な静寂に支配された。

 阪神は7月10日のDeNA戦(甲子園)から、約5000人程度の観客を収容した形での主催試合挙行を目指しており、この日の一戦はそのためのシミュレーションとして行われた。熱狂のるつぼ・甲子園が本来の姿を取り戻す日はまだまだ先かもしれない。だが今は、できることから一つひとつ地道に取り組んでいくしかない。