巨人ユニホーム組コロナ別居「家に帰ってこないで」“家庭内危機”乗り越え迎えた開幕戦

2020年06月20日 16時30分

6000勝を達成した原監督(中央)ら巨人軍

 プロ野球が19日に開幕し、無観客開催ながら6球場でようやく球音が響いた。新型コロナウイルスの影響により開幕は3か月遅れ。感染拡大への対策や日程の調整など、様々な問題をクリアしてここまでこぎつけたが、原辰徳監督(61)率いる巨人では、チーム内どころか「家庭内の危機」まで発生していたという。

 開幕戦前のセレモニー、原監督は関係者への感謝の言葉を述べたあと「何より選手たち。こういう状況の中コンディションを整え、元気に立つ姿。改めて敬意を表し健闘を祈ります」と12球団の全選手へメッセージを送った。ここまでを振り返って、やはり際立っていたのは巨人の動きだった。

 2月下旬、12球団に先駆けて無観客でのオープン戦開催を決断。さらには全選手、首脳陣、スタッフに抗体検査を実施するなど、新型コロナウイルス対策では「球界の盟主」の名にふさわしい、スピード感ある対応をしてきた。

 しかし、ついて回ったのは先陣を切るがゆえともいうべき、周囲からの批判の声だった。

 4月18日には、主にジャイアンツ球場で業務にあたっていた嘱託職員に陽性反応があったことを発表した。チーム初の感染者にも迅速に対応し、保健所と連絡を取りながら球団内、さらに選手、首脳陣らに濃厚接触者に当たる人はいないことを確認。これを受け、ジャイアンツ球場での個人練習を継続したが、他球団からは「それでもまだやるのか」の声が少なからず上がった。

 その後も一軍から三軍まで選手、コーチを時間ごとに入れ替え、ロッカーやシャワーの使用も厳しく管理するなど万全を期して調整を続けてきたが、6月3日の西武戦(東京ドーム)が急きょ中止となり、坂本、大城に陽性反応があったことが明らかになった。

 5月31日には一~三軍のほぼ全選手が東京ドームに集結。球団内に情報が行きわたっていなかったこともあり、チームスタッフの中には「この前、まあまあな時間(坂本、大城と)同じ空間にいた人もいますけど、大丈夫なんでしょうか…」と不安の声が上がるなど、動揺は広がった。

 厳しい環境にさらされていたのは、選手だけではなかった。あるチームスタッフは「独身ならまだいいけど…」と嘆息し、こう続けた。「なかには個人調整期間中、家族から『外で誰と接しているかわからないんだから、家に帰ってこないでほしい』と言われた人もいたそうです。その人は近郊に親族がいたそうで、しばらくはそこから現場に通ってたみたいですけど…」と“コロナ別居”を余儀なくされたユニホーム組もいた。幸いなことに現在は自宅に戻っているという。

 グラウンド上での濃厚接触はなくても、一歩外に出ればチーム外の誰と接しているかはわからない。事実、坂本、大城は感染していたものの無症状だった。誰が感染しているかもわからない、ひょっとして自分もすでに…。疑心暗鬼の闇はチーム内だけでなく、それぞれの家族にもじわじわと忍び寄っていた。一歩間違えば、チームの「和」にも影響を及ぼしかねなかった。

 そんななか、ようやく開幕までこぎつけたプロ野球。このまますんなりいけばいいのだが、新型コロナウイルス感染拡大は依然、落ち着きを見せていない。球界のリーダーでもある巨人の動きには今後も注目だ。