昨季限りで現役を引退した巨人・阿部慎之助二軍監督(41)が、いよいよ本格采配を振る。イースタン・リーグは一軍公式戦と同じ19日に開幕。元最強打者も新たな一歩を踏み出すが、底上げに燃える鬼監督の指導にも一層熱が入りそうだ。そこでファーム内では「ランドバック」なる伝説的な懲罰練習の復活がささやかれている。 

 世界中を襲ったコロナ禍の影響で、当初3月14日の開幕予定だったイースタンも約3か月遅れでスタートする。阿部二軍監督の記念すべき初陣は日本ハム戦(鎌ケ谷)。17日にジャイアンツ球場で最後の練習試合を終えた指揮官は「他のスポーツ界は開幕してなかったりするところもあるし、野球界のいろんな方々が頑張って(開幕)できる恩がある。(いずれは野球を)やるのが当たり前みたいなふうになってくると思うんですよ。そうなった時に自分がもう一度、こうやって野球ができる喜び、感謝を選手に言えればいいかな」と決意表明した。

 底上げにかける思いはホンモノだ。この日の敗戦後も居残りの打撃練習に付き添い、自ら実演しながら育成の広畑や荒井に助言を送った。

 一方で、ふがいないプレーには容赦なく怒号を飛ばし、懲罰交代や罰走も科してきた。ただ、これらはあくまでも練習段階で「本番」はこれからだ。巨人のファームではめったに行われることがない究極のペナルティーが解禁されるのではないかと見られている。それはチーム内でひそかに「ランドバック」との名で語り継がれるものだ。どういうものなのか…。

 ファームのスタッフによれば「例えば、鎌ケ谷や戸田球場など近郊の試合で情けない結果に終わった時、試合後にジャイアンツ球場に再集合して夜まで練習するもの」だという。「ランド」とはG球場に隣接するレジャー施設「よみうりランド」のことだ。

 2013から15年までファームを指揮していた岡崎郁元二軍監督の下で、この恐怖の「ランドバック」が敢行されたことがあるそうで「あれは地獄ですよ。選手は試合で疲れ切り、試合後にいったんはスイッチを切る。そこからG球場に戻って、もう一回スイッチを入れて練習というのは…。心身ともにヘロヘロになっていましたから。阿部(二軍)監督ならやりかねない」(同)と声を震わせていた。

 何はともあれ、就任以来「読売巨人“軍”だから」と若手にハッパをかけまくってきた阿部二軍監督。伝説的な荒療治を復活させないためにも、二軍戦士たちは常に隙のないハッスルプレーが求められそうだ。