まだまだ安心とはいかない。ヤクルトのドラフト1位ルーキー・奥川恭伸投手(19)のことだ。1月の新人合同自主トレ中に右ヒジの軽度の炎症が発覚し、ノースローで調整する時期もあったが、春季キャンプからは順調なステップを踏んでいる。
2月22日にプロ入り初ブルペン、5月31日にはフリー打撃に初登板。直近では6月12日にプロ入り初のシート打撃で投げ、最速153キロを計測した。奥川は「これからもしっかり練習を続け、いいパフォーマンスができるように意識していきたい」と意気込んでいる。
高津臣吾監督(51)がテレビ番組で7月中の一軍登板を示唆するなど、決して一軍の舞台は遠くないように見える。このまま順調にいけば今月中にもイースタン・リーグ二軍戦に登板し、打者との対戦ができる見通しだが、球団内には慎重論もある。
ヤクルト関係者の一人は「年間通してローテーションを回り切れるだけの体力はまだないように見えます。二軍で何度か投げて、それがあるとなれば一軍へ、というのは十分あると思いますが…」と話す。別の関係者も「ケガだけはしないでほしい。投げられる状態でも、ケガをするリスクが少しでもあるのなら(一軍は)我慢してほしいという思いもあります」。燕のエースとしてだけでなく、日本のエースとしての期待も背負う奥川だけに球団の悩みは尽きない。