坂本“繰り上げ退院”で巨人が厚労省を動かした!?

2020年06月15日 16時30分

濡れ衣を着せられ、おかんむりの原監督

 無症状ながら新型コロナウイルス「陽性」となった巨人・坂本勇人内野手(31)と大城卓三捕手(27)の“繰り上げ退院”が他球団に波紋を広げている。両選手は厚生労働省の退院に関する新基準が適用され、本来の予定よりも3日早い12日に退院したが、これにライバル球団の間では「巨人が厚労省を動かしたのか?」との妙な勘繰りが広がった。ただ、実際のところはというと――。

 坂本と大城は、退院の翌13日からジャイアンツ球場でノックや打撃練習を行い、コンディション回復に努めているが、当初、球団側が管轄の保健所から勧告された2人の退院日は15日だった。しかし、実際に退院したのは12日。この3日間の前倒しが、球界内にあらぬ臆測を広げた。

 セ球団の関係者は「2人の退院が早まったのは巨人が厚労省を動かしたのか?」といぶかしがれば、別の球団の関係者も「巨人は国にまで影響を与えられるのか?」と驚きの声を上げた。

 だが、結論から言えば、そうではない。実際には新型コロナに対する世界的な潮流が大きく影響したようだ。これまでの臨床データなどを基に米疾病対策センター(CDC)や世界保健機関(WHO)が入院期間を10日に短縮。これに厚労省が合わせる形で、12日に感染者の新たな退院基準を発表し、症状が軽い、またはなくなっていれば、基本的に発症や検体の採取から10日後に退院できると短縮した。巨人の件は、たまたまタイミングがぴったりだったというわけだ。

 もっとも、短縮されたとはいえ10日間の入院は決して短くはない。陽性が判明した経緯は球団が率先して行った抗体検査だが、開幕直前にこれほどの調整遅れが生じるのはチームとしては痛手だろう。

 原監督は「缶詰め状態になっているわけですから。そこはちゃんと彼らの体のことも含めて、精神的な部分も含めて。ここで我々が時間の制約を出してしまうというのは僕は不適切だと思うね」と、一軍への合流時期を慎重に見極める一方で「何か(巨人が)短くしたぐらいのこと言っている人がいるの?」ともどかしさを隠せなかった。

 新基準は国民はもちろん球界にとっても大きなメリット。無症状の感染者はPCR検査で陽性となった検体採取から10日後か、6日後以降に2回連続陰性なら退院できることになった。開幕後、月1回のPCR検査を行う12球団にとって選手の早期復帰の道筋が見えたことはプラスだろう。

 本来なら入院期間の短縮はもろ手を挙げて歓迎すべき事柄。圧力をかけたと言わんばかりの声は巨人にとって“濡れ衣”ともいえるが、これも伝統球団ゆえの「有名税」なのかもしれない。