プロ野球・阪神と甲子園球場は8日、日本高等学校野球連盟に加盟する野球部の3年生部員全員に「甲子園の土」キーホルダーを贈ると発表した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で春のセンバツ、夏の全国選手権大会への道を閉ざされた球児たちに、聖地・甲子園を拠点に戦う虎戦士たちから粋なプレゼントだ。発端は矢野燿大監督をはじめとしたコーチ陣・選手たちによるミーティング。「甲子園への夢を絶たれた高校球児のため、何か自分たちにできないか」という声が上がり、実現にこじつけた。

 キーホルダーの中に納まった土の一部は監督、コーチ陣、選手らに加え、球団職員や阪神園芸のスタッフたちが直接グラウンドで集めるという。

「高校球児、監督さん、父兄の皆さんが、やり切れない気持ちの中にいることはニュースで知っていた。何とか彼らの背中を押してあげたかった」と意図を説明した矢野監督は「費用(の負担)だけではなく、自分たちが実際に土を集めることで僕らの気持ちを球児に届けたい。阪神だからできることだと思う」。

 監督就任以来「誰かを笑顔にする」ことをスローガンに掲げてきた矢野監督。インタビューの最中に「泣きそうになった」と胸中を明かしながら「(球児たちは)苦しい思いもあるだろう。無理にすぐ切り替えなくてもいい。時間は必要だと思う。それでも最後に前を向いてもらえれば」と野球の後輩たちへエールを送った。