伊原春樹、前田幸長氏が前代未聞の「超過密」「超変則」「無観客」2020年シーズンを占う!

2020年06月09日 11時00分

伊原春樹氏(左)と前田幸長氏

 まさしく“前代未聞のシーズン”となりそうだ。セ・パ両リーグは新型コロナウイルス感染拡大の影響から約3か月遅れで19日に開幕する。移動時の感染リスクを考慮し、セは3カードすべて首都圏で、パは開幕3連戦を終えた後に同一カード6連戦の連続と異例ずくめの日程編成となった。超過密日程ともささやかれる2020年シーズンを本紙評論家2人が占った。

 各球団いずれも、やりくりが難しくなるのは間違いないだろう。今季は昨年から23試合減って120試合となった。開幕が大幅に遅れたことで、11月21日から行われる日本シリーズに向けて組み直された日程編成は例年になくタイトだ。

 発表済みの約1か月分のスケジュールではパが開幕2カードから5カード目まで同一球場で異例の6連戦が続く。セもまずは首都圏で開幕3連戦を終えた後、3カード目以降から西日本の球場へと戦いの場を移す。開幕カードは3試合だが、2カード目以降から6連戦が基本線となっている。移動の際の感染リスクを最小限にするための措置とはいえ、どの球団も開幕からハードな戦いを強いられそうだ。

 これらを踏まえた上で監督経験も豊富な本紙専属評論家・伊原春樹氏は「先発投手の頭数が揃っているところが有利になるとみている」と分析。「試合数はいつもより少ないかもしれないが、6連戦が続くのはきつい。特にパは同一チームで戦い続けなければいけないから、その中でどうしてもお互いの投手力の差は浮き彫りになってくる。例えばソフトバンクや西武は6人から8人ぐらい先発ローテ候補はいると考えるが、4枚目まで計算できても後が続かないような他のチームになると苦しくなってくるだろう」と続けた。

 セ・リーグも同じだ。「去年の覇者巨人は若い投手を一、二軍総じて多く抱えていて頭数が揃っているのは大きい。あとは屋根のない球場を本拠地とする球団は降雨中止となった場合、後々の予備日に組み込まれて十何連戦のような戦いになることも考えられる。その点を踏まえても投手力が足りないところは、かなり厳しくなってくるでしょう」

 2月のキャンプ、3月にオープン戦をこなしながらも新型コロナ禍によって開幕が遅れ、4~5月は実質的にオフのようになってしまった。「この“2か月のハンディ”があることも、今年は投手有利のシーズンになる」と伊原氏は指摘する。

「どうしても野手はこれだけ実戦から離れてしまうと感覚のズレを取り戻すのに相応の時間を要する。だが、投手はある程度、肩とヒジさえ元気であれば準備期間がそれほどなくても投げられるはず。何せ7~8月というのはいつもなら疲労がピークになっているころだけど、今年に関しては投手の誰もが休養十分でフル回転してくる。もちろん、おのおのの選手たちが4~5月をどう過ごしてきたかにもよるが、この傾向は各チームとも変わらないと思う」

 投手出身の本紙評論家・前田幸長氏も「一、二軍を合わせて戦力になる投手をどれだけ抱えているかが、勝負の分かれ目になってくる」と言う。

「セとパ、どちらも6連戦が多く続くことを考えれば、今まで以上に各チームは投手陣に負担がかかることを覚悟しなければいけない。先発、中継ぎもヘタを打てば登板過多になってしまう。その観点からすると、パはソフトバンクが抜きんでている。コンディション不良で出遅れていた千賀や高橋礼も開幕延期に救われ、リハビリに集中できた。救援陣も若い戦力が豊富だし、何より層が厚い。今年のキャンプで王会長が『ウチは大学、社会人の即戦力候補が入ってきても2年は(一軍主力として)出られない』と話していた言葉には非常に説得力があります」

 セに関しては、伊原氏と見解が異なり「投手力があるチームは少なく、ほぼ横一線ではないか。ひいき目に見れば巨人だが、山口(現ブルージェイズ)の抜けた穴は大きく、まだ“投げてみないと分からない”タイプの若手が目立つのは若干の不安材料」とシビアな見方だった。

 いずれにしろ未曽有の事態で、各チームとも手探りで戦うことになる。だからこそ伊原氏は「怖いシーズンになる」と、こう付け加えた。

「これだけ過密日程となるとメンタルの面でも戦い方は難しい。特に同一カード6連戦を繰り返すパでは連勝街道を突っ走るか、逆に大型連敗を繰り返すチームが出てくるかもしれない。連敗脱出には次のカードで仕切り直しするというのも一つのセオリーだが、今季はそれが難しくなる。まさかの6連敗という泥沼にもハマりやすくなるし、監督とすればやりづらいシーズンになると思う」

 開幕から当面の間は無観客とはいえ、さまざまな局面においてヒートアップすることは間違いなさそうだ。