星野野球の真骨頂は「負け試合で若手を育てる」

2013年09月28日 11時00分

【大下剛史 熱血球論】開幕から無傷の22連勝をマークしたエース・田中将大の奮闘もさることながら、限られた戦力をやり繰りして就任3年目でチームを作り上げた星野監督の手腕は目を見張るものがあった。

 特に感心させられたのが「負け試合」の作り方だ。楽天にはリーグを代表する捕手に成長した嶋がいるが、故障による長期離脱を避けるため、星野監督は夏場に入ってから定期的に休みを与えてきた。もちろん勝つ確率は下がる。実際に嶋がスタメンから外れた試合は8試合あり、7月10日以降は6連敗。

 それでも星野監督は動じなかった。

 するとどうだ。スタメンマスクで3連敗中だった伊志嶺が、今月19日のソフトバンク戦でサヨナラ打を放ち、同23日の日本ハム戦ではプロ初本塁打まで記録して勝利に貢献した。負け試合の中で若手を育て、結果を出させる。これぞ星野野球の真骨頂だ。

 投手の起用法にしてもそう。田中の開幕22連勝は、開幕戦ではなく開幕4戦目から始まった。WBCでの疲労を考慮し、決して無理を強いることはなかった。中日監督時代からやり繰り上手には定評あったが、使いながら美馬を「勝てる投手」に育てたり、育成出身ルーキーの宮川を大胆に先発で使うなど、最近の若い監督にはマネのできない用兵は見事の一言だ。

 勝因を挙げればきりはないが、すべての基本となっていたのは「3年で勝てるチームを作る」という星野監督の信念と言ってもいい。

 10月17日に始まるCSファイナルステージ初戦まで約3週間。初Vでホッとひと息ついたチームを指揮官はどう引き締めてくるのか。不安の残るリリーフ陣をどう立て直すのか。興味は尽きない。(本紙専属評論家)

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