もうひと花咲かせるか――。今季から新加入の阪神・中田賢一投手(38)が地味トレで再起への準備を着々と進めている。

 ソフトバンクに在籍していた昨季は一軍登板1試合のみ。プロ15年目で初のシーズン未勝利と悔しい結果に終わった。新天地で同じ失敗は繰り返せない。巻き返しを期すベテラン右腕は、今年から自重を使って行う指のトレーニングを新たに取り入れた。

 いったい、どんなものなのか? 中田のパーソナルトレーナーを務める宗廣大志氏によれば「鉄棒に指の第1関節と第2関節を引っかけて、そこから指を丸め込むように行う」トレーニングで、これにより指の爪割れなどを防止できるという。

 ジェルネイルを使用するなど爪のケアには細心の注意を払ってきた中田だが、それでも爪割れや爪と肉の間が裂けるなどの症状に悩まされた。それを改善するために取り入れたのが“指トレ”だった。ケガの防止だけにとどまらず「指先が強化されることでリリースが力強くなり、より球のキレが増すなどパフォーマンスを向上させる効果があります」(宗廣氏)と投球面でもメリットを得られる。

 練習内容は極めて地味だ。すぐに効果が表れるものではなく、見た目にも成果が分かりづらい。宗廣氏は「忍耐弱い人だと3日で投げ出してしまうと思います。それをコツコツ続けていけるのが中田さんなんです」とプロ16年生の我慢強さ、意志の強さを称賛する。コロナ禍で先の見えない状況は続くが、努力は必ず報われるはずだ。