チーム内競争は「個人調整期間」も例外ではなかったようだ。セ・リーグ連覇を狙う原巨人に、再びサバイバルのゴングが打ち鳴らされた。開幕一軍争いはオープン戦までで一応の決着を見たかに思われたが、さにあらず。一部の一、二軍メンバーが入れ替えられ、6月下旬の開幕を見据え、さながら初夏の“東京キャンプ”に突入した格好となっている。

 原巨人のギアが1段階上がった。13日に発表された一軍の練習メンバーには、二軍で調整していた多くの選手たちの名前も並んだ。丸ら主力以外に、新たに若林と北村、松原、湯浅、山下が合流。球団によると、これらの若手は東京ドームでの練習が解禁された11日から一軍に加わり、同時に増田大や山本らが二軍練習に合流したという。

 3月26日からの「個人調整期間」では全体練習もなければ、試合も一切なし。結果ではアピールしようがなかった中、“入れ替え”が行われた意図は何なのか…。チームスタッフは「一軍練習に合流したという形。まだ練習段階なので、そこまでの振り分けではない」とした一方で「競争はずっと続いている」とも語った。

 原辰徳監督(61)が春季キャンプからの一応の“総決算”と位置づけたのが「ベストオーダーで」と臨んだ3月15日の楽天とのオープン戦(東京ドーム)。その後のコロナ禍の拡大によって異例の自主練習となったが、首脳陣は視察しながら調整ぶりを見極めていたようだ。

 となれば、第2弾のサバイバルはまだ序章ということになる。球団関係者は「これから練習試合などが組めるようになれば、よりきっちりとした一、二軍の振り分けやふるい落としがあるはず」。主力勢は不動としても、レギュラーの座をうかがう面々は宮崎、沖縄での厳しいキャンプなどを乗り越えた上に、仕切り直しの“初夏キャンプ”を勝ち抜く必要がありそうだ。

 振り返れば、元木ヘッドコーチはキャンプ中から若手に口酸っぱく言い続けてきた。
「キャンプで一軍にいたからどうのこうのじゃない。開幕して残っておかないとダメなんだよ。(一軍で)出ている選手も油断しちゃいけない。開幕に一軍いたから『よし、終わった』じゃない。そこから1年間残らないと」

 今回、一軍に“昇格”した形の若手たちも隙を見せれば、即座に阿部二軍監督のもとへ送り返されるに違いない。おぼろげながら見えてきた開幕へ、競争が再び激化しそうだ。