【コロナに負けるな!有名人の緊急事態宣言】この未曽有の国難を一丸となって乗り越えましょう――。かつて“トレンディーエース”としてプロ野球界で一世を風靡した西崎幸広氏(56)が本紙を通じ、声を大にして訴えた。新型コロナウイルスの感染拡大で世の中は自粛を強いられ、どうしても不自由な生活環境に置かれがち。だが今は我慢の時期として「STAY HOME」の大切さをPRし、球界の現状について憂えながらも必ず明るい未来がやってくることを強調した。

 家にいることは嫌いじゃない。日本ハムなどで活躍したプロ野球OBの西崎氏も「STAY HOME」を受け入れ、前向きな捉えかたで日々を過ごしている。

「現役時代から調理していたので、今はカミさんと一緒にご飯を作ったりしていますよ。あとは自宅の日の当たるところで日光浴をしたり…。そういう、のんびりした時間を過ごしていると案外、一日はあっという間に終わりますね」

 緊急事態宣言が発令されて以降、対象地域の都内近郊で生活しているため不要不急の外出はしていない。もともとインドア生活には抵抗を感じていなかったと口にする半面、やはり外出自粛は世間の人たちと同じく自身の生活にも大きな影響を及ぼす。

「どうしても仕事がなかなかできなくなってしまいますからね」と言うように、普段は野球評論家をメインとして、少年野球教室での指導など幅広い分野で活躍中の西崎氏も、突然ふりかかってきたコロナ禍によって自制を余儀なくされている。

「議員さんたちもいろいろ考えてくれているんでしょうが…。自分を含め国民全体が普段の生活から一変する境遇に置かれている。企業さんにはテレワークが推奨されていますけれど、その設備も整っていないところもありますからね。そういうニュースを日々見ていると大変なことになっているなと思いますし、つらいなと感じます」

 そして、もちろんプロ野球界のことも心配だ。開幕日が白紙に差し戻され、先の見えない今季については「ほとんどの球団が今、自主練習しかできていない状況になっている。厳しい現状ですよね。今後、仮に開幕日を決められる形になったとして、そこから『さあ、やりましょう』となっても実戦を積み上げていないわけですから、どうしても時間はかかってしまうと思います」と重い言葉を並べざるを得なかった。

 かつての現役時代、ファイターズの“トレンディーエース”として長きにわたって球界で奮闘し続けた。だからこそ投手たちが思うように調整できない気苦労は痛いほどに分かっている。

「フリー打撃や実際のゲームで段階を踏みながら肩をつくっていかなければいけないわけですから、投手は本当にきついと感じます」と同情する。

 さらにコロナ禍に巻き込まれている昨今の状況を踏まえれば、プロ野球は今後仮に開幕を迎えられたとしても無観客試合からのスタートとなる可能性が大きくなっている。「選手たちは一刻も早く試合がやりたい。でも、その試合が無観客となると、なかなか気持ちの面でも入りにくいなど難しいところが出てくるかもしれません」と個々のモチベーションへ影響が及ぶことを懸念していた。

 それでも「皆、今の選手たちは分かっていると思います」と力を込めると熱い口調になった。

「野球界を含め、やっぱりスポーツ選手は体を動かさなければ気が済まないでしょう。でも、これは国難。全員が全員、とにかく必ず乗り越えるんだと。国民の義務じゃないですけど、そういう気持ちになって家で普段できないことを個々で見つけていく。そういう心構えが大切になると思います。後にお客さんを入れ、普通に試合ができるようになったら、その時の喜びは倍加するはずです」

 コロナに打ち勝って日常を取り戻すべく、西崎氏は世の中と球界へ向けて力いっぱいのメッセージを発信していた。

☆にしざき・ゆきひろ=1964年4月13日生まれ。56歳。滋賀県出身。瀬田工業高で3年時にセンバツ出場。愛知工業大でエースとして数々の記録を作り、86年にドラフト1位で日本ハムへ入団。ルーキーイヤーの87年に15勝をマークし、パ・リーグ会長特別賞を受賞。88年も15勝を飾って最多勝のタイトルを獲得し、不動のエースとなる。甘いマスクと長身に細身の体形、ファッションセンスの良さが注目を集め「トレンディーエース」としての人気も定着。95年7月5日の西武戦(東京ドーム)ではノーヒットノーランも達成。球宴には96年まで7回出場し「オールスターの顔」となる。97年オフに西武へトレード移籍。2001年のシーズンを最後に現役を引退した。現在は野球評論家。長女は女優の西崎あや、次女はタレントの西崎莉麻。