コロナショックは飲食業界に深刻な打撃を与えている。巨人などで活躍したプロ野球OB・角盈男氏(63)も窮状を訴えた。自身も東京・JR恵比寿駅近くで2009年から昭和歌謡曲バー「m―129」を経営。常連客を中心ににぎわいをみせてきたが、緊急事態宣言が発令されたことで4月上旬から休業を強いられている。

 冒頭こそやや自虐的に苦笑交じりで「大変ですよ」と口にしたものの、その後の言葉には店舗経営者ならでは切実な悩みが込められていた。

「お店の方は四苦八苦。(発令前の)4月頭こそ数日開けていましたが、コロナのことがあってお客さんもほとんど来てもらえませんでした。だから売り上げは4月だけで95~96%減。結局ゼロに近い状態ですからね。その中からお店の家賃も当然、支払わなければいけないわけですから」

 東京都は休業や営業時間短縮の要請に応じた事業者に協力金を支払うことを決めている。しかし審査や手続きにかなりの時間を要するため、頭を抱え込む経営者も多い。角氏も協力金には感謝しつつも「いかんせん遅過ぎ」と苦言を呈す。「ウチは女房が役所等で手続きのため駆けずり回ってくれています。ただ、書類の準備やら、窓口に行っても待たされるので大変。役所では“3密”になるわけですから矛盾していますよね。こっちは命をかけて補助金をもらいに行っているわけで、マイナンバーって一体何の意味があるのかなと。もっとスピードアップを図ってほしい」

 休業要請が解除となり、営業を再開しても試行錯誤の日々は続く。「お客さんは人数制限しなければいけなくなるかもしれない。売り上げは当然落ちますよね。それに(コロナの)ワクチンができて、誰もが安心できる環境が整わないと大手を振って“飲みに行きましょう”とはならないのでは」と危惧する。

 プロ野球は開幕を迎えられないままで解説の仕事も休業中。角氏は「台湾、韓国も開幕した。早く日本も続いてほしい」とエールを送り、球界の“夜明け”も待ちわびている。