にわかに“球春到来”の足音が聞こえてきた。プロ野球は最短で6月19日の開幕を視野に、各球団の調整が急ピッチで進められそうだ。ただ、開幕したとしても当面は無観客試合となる方針。何から何まで異例のシーズンとなる今季、原辰徳監督(61)率いる巨人では選手の意外な働きぶりもリーグ連覇へのカギを握るとささやかれている。それはプレー以外の部分だという――。

 今度こそ開幕できるのか。政府は全国に発出した緊急事態宣言のうち、13の特定警戒都道府県を除く34県を解除する可能性に言及するなど、規制緩和の動きが広まりつつある。今後の感染拡大防止が大前提ながら、日本球界は6月19日の開幕を想定しながら準備を進めることになる。一方で、シーズンに入れたとしても通常開催には時間を要する。すでに当面の間は無観客で実施することが確認されている。

 そうした中、巨人のチーム関係者からは「無観客だからこそ、チームの雰囲気を盛り上げるような選手の存在がより大事になってくるだろうね」との見方が浮上。無観客試合はオープン戦や練習試合で経験済みだが、ファンの応援も歓声もない中でのプレーにはGナインからも「試合への入り方、気持ちの入れ方が難しい」など戸惑いの声が相次いだ。ましてや無観客の公式戦となればなおさらだろう。そこで試合前の練習や開始直前までチームをにぎやかし、士気を高める“ガヤ枠”がいっそう重要になるというわけだ。

 投手陣では「ちょっとお調子者すぎる時もあるけど、適任でしょうね」(同)と名前が挙がったのが先発枠候補の田口麗斗投手(24)だ。6度行われた球団公式インスタライブの他選手の収録中にチョコチョコと毎回登場し、10日にはついに異例の単独ライブを開催。丸や山本、実は遠い親戚だったという畠ら先輩選手たちのモノマネや変顔でファンを楽しませた。昨秋の「プレミア12」でも、やはり変顔などで並み居る日の丸戦士たちを和ませており、その“実績”は十分だ。

 野手での筆頭候補は吉川大幾内野手(27)か。球団のファン感謝イベントでは大観衆の前で女装してチアダンスを披露し、円陣での声出しにも定評がある。主将・坂本からは「PL学園出身で鍛えられているから」との理由から「無人島に連れて行きたい人」に指名されたことも…。吉川大自身も「僕が元気を出していこうかなというのは少しの目標ではある」と元気印としての意識の高さをうかがわせていた。

 先に開幕した韓国プロ野球ではベンチとグラウンド以外でのマスク着用などが義務化された。日本でも様々な制約を設けられる可能性はあるが、原巨人の連覇には“ガヤ枠”の活躍も不可欠となりそうだ。