元ロッテ・得津高宏氏の「ドラフト診断」恥をしのんで“答え合わせ”やってみた

2020年05月08日 18時10分

14年ドラフトで有原の抽選に臨んだDeNA・中畑監督、広島・尾形スカウト、日本ハム・津田球団社長、阪神・和田監督(左から)

 2014年からスタートした本紙恒例「得津高宏のドラフト診断」では、ドラフト指名に成功した球団、失敗した球団を、元ロッテのスカウトで本紙評論家の得津氏がドラフト会議終了直後に一刀両断。「失敗ドラフト」と斬り捨てた球団のファンからはブーイングが上がるなど、大きな反響を呼んできた。では、当時の格付けはどれぐらい的確だったのか。得津氏と本紙記者が、恥をしのんで過去5年分の“答え合わせ”をやってみた。

 ――まずは2014年から。この年は4球団競合の有原を獲得した日本ハムを最上位に評価しました

 得津:日本ハムは有原だけでなく、指名バランスも良かったんですよね。2位(清水)、3位(浅間)でも1位クラスの選手を獲れましたから。有原は期待通りの活躍をしてくれていますし、清水も浅間も一軍の貴重な戦力となっています。日本ハムは間違いなく当たりのドラフトでした。

 ――逆にワースト評価は4人しか指名せずに選択終了した巨人でした。でも1位は岡本。得津さんは「岡本はいいんだけど、4人しか指名しないのは…」とおっしゃってましたけど、現在の4番打者を指名できたのだから大成功だったのでは

 得津:はい、おっしゃる通りでございます。岡本はちょっと時間がかかったんだけど、高橋由伸監督が我慢して起用してきたおかげでちゃんと育ちましたね。チームの中心選手に成長した選手を指名できたドラフトが失敗なわけないよね。失礼しました。

 ――この年のDeNAは山崎が1位でした。DeNAの評価もあまり高くなかった気が…

 得津:この5年間の資料を見てあらためて感心させられたのは、DeNAの成功率の高さ。競合を避けて上位の単独指名が多いなど、もともと戦略性の高い指名をしている球団なんだけど、これだけ成功しているとなると、これからの評価にも反映させなきゃいけません。

 ――確かに山崎、今永、浜口、東、上茶谷と5年連続で1位が大活躍しているのは飛びぬけています

 得津:他球団が5年で1人出るか出ないかという大当たり選手を5年連続というのはね。それに1位の選手がそのまま当たるというのは、スカウト的な感覚で言うと逆に珍しいことなんですよ。DeNAのスカウト陣の眼力はもちろんのこと、球団としての戦略、指名のやり方など、すべてがかみ合っている感じがします。

 ――続きまして2015年です。この年の最高評価は高橋純平を引き当てたソフトバンクでした

 得津:純平もようやく出てきたけど、当時の期待からするとまだまだだよね。この年のソフトバンクは純平だけでなく、指名6人が全員高校生。もちろんリスクもあるんだけど、目先の即戦力にとらわれない球団の方針は、元スカウトとしてすごいと思った。ただ、いまのところリスクの方が出ちゃってる感じかな。高校生をちゃんと育てるのはなかなか難しくて、最近のソフトバンクはドラフト指名選手よりも育成選手の方が活躍したりする。難しいものです。

 ――オリックスの吉田正に対しての評価も厳しかった

 得津:「1位じゃなくても指名できたのでは」って言ったんですよね。彼のことは青学大3年のころから面識はあったんだけど、体がそんなに大きくないのに振りすぎるところがあったから「プロで大丈夫かな」と心配していたんです。本人の努力も当然あるんでしょうけど、オリックスのスカウトはよく見ていたんですね。前言撤回させていただきます。

 ――2016年も展開的に面白いドラフトでした。阪神ファンを敵に回しました

 得津:大山を1位で指名した年だよね。佐々木千隼(ロッテ)がまだ残っていたのに、大山で行く必要があったのかと。「指名に信念はあったかもしれないが、うまいドラフトではなかった」と言いました。大山はまだ成長途上ですが、4番を打っているほどの選手ですし、5位で糸原も獲れた。今にしてみれば阪神としては大成功のドラフトだったと思います。ごめんなさい。

 ――そのロッテも、佐々木千隼こそまだ出てきていませんが、6位の種市が当たりました

 得津:ロッテはこの年の2番目に高く評価したんですけど、5位の有吉もいいし、間違いなく成功ドラフトですよ。ただ、この年で大成功ドラフトだったのは1位で山岡、4位で山本由伸を指名したオリックス。全体的に長い目で見て、この球団のスカウト陣の評価もDeNA同様に上げたいと思っています。

 ――清宮ドラフトとなった2017年は巨人に手厳しかった

 得津:2位で岸田、3位で大城と社会人の捕手を2人並べた指名でしたね。結果的に大城がレギュラーを張れるほどの選手に成長して、戦力になっているということを考えれば成功なのかもしれません。ただ…。スカウト的に社会人捕手を上位に2人並べるというのは、今でも首をかしげてしまいます。2人のうちどちらかが出てくれば、という狙いなのかもしれませんが、巨人には小林もいるわけですし。ここに関しては素直にごめんなさいできないですね。

 ――この年の巨人は1位で清宮、外れ1位で村上とくじ引き2連敗

 得津:村上が巨人に入っていたら、ヤクルトのように使ってもらえなかったかもしれません。やはり入る球団によって、伸びる選手とそうでない選手は分かれるような気がします。DeNAとオリックスに成功例が多いのも、試合に出場できるチャンスが多いからというのもある。そう考えると、やはりチーム事情に足りない選手を指名していくのは、球団として真っ先に考えないといけないポイントです。ということは、偏りすぎる指名もあながち間違いではないのかもしれません。社会人捕手2人もありなのかなあ…。

 ――この年は清宮を引き当てた日本ハムがトップ評価でした

 得津:うーん、清宮はまだ何とも評価できない状態なんですよね。ロッテの安田にも期待はしているんだけど、今年の内容次第で、ある程度は見えてくるような気がします。

 ――最後に高卒野手選手が話題となった2018年です。根尾(中日)、藤原(ロッテ)、小園(広島)らはまだ2年目ですし、評価は早いですか

 得津:高卒選手はもうちょっと様子を見るとして…。やはりこの年も、ごめんなさいしないといけないですかね。

 ――近本が新人王を争う活躍をした阪神ですね。3位の木浪も活躍しましたが、下から2番目の評価でした

 得津:1位で藤原を外し、外れ1位で辰己(楽天)も外し、そこで近本ですからね。それだけ外野手が欲しかったんでしょうが、いくらくじ引きで散々だったとしても、こういうことがあるのがプロ野球の世界です。すいません、失敗ドラフトどころか大成功ドラフトでした。

 ――この5年間を振り返ってみても、なかなか当初の見立て通りにはいかない…

 得津:これまでは指名がうまくいったか、ポジションや右左などのバランスが取れているか、相対的にもっと下位で獲れる選手ではないのか、などをチェックしてきましたが、今年からは「ドラフトは順位がすべてではない」という前置きを入れたほうがいいかもしれません。

 ――では、昨年のドラフトの“答え合わせ”はまた、後日にお願いします

 得津:「ごめんなさい」ばかりにならないようにしたいですね。