阪神期待の新人左腕に高校球界の名将からエールだ。

 かつて“高校四天王”と呼ばれたドラフト3位・及川雅貴投手(19=横浜)には、横浜高校の元監督で甲子園春夏5度優勝、通算51勝を誇る名将・渡辺元智氏(75)も大きな期待を寄せている。

 渡辺氏は2015年に同校監督を退任しているのだが、その後に鳴り物入りで入学した及川を常に気に掛け、プロ入りの際に激励の色紙を贈るなどしていたという。

「最初見た時は歴代の投手の中でも才能は抜きんでていた」と渡辺氏はさらなる飛躍を予感したものの、2年秋あたりから制球難で苦しむようになり結局、高校では伸び悩んだ感もあった。

 渡辺氏は不振の原因を、「しっかりと下半身が出来上がっていて腕を振れる体に達していない。メンタル、体力、技術がかみ合わないと難しい。3年間という限られた時間でその土台をつくることも高校時代に必要だった」と見ており、投球面では「外角一辺倒で内角を使えておらず、それで打たれている場面が目についた。やはり内角にコントロールされた球を投げるには下半身を鍛えることが必要だ」と語る。

 一方で、プロでの活躍については「いかに考え、備えるか。ただ一生懸命に練習するだけじゃなく、いざチャンスが与えられた時、ふいにしないよう常に『一軍で投げる自分』を想像し一日一日を積み重ねていくこと」と「個性の時代。個性を磨きチームにどう反映させるかも大事。そこで球種を増やすにしても下半身を強くすれば、いろんな球にトライできる」と、そのカギを挙げた。

 最後に「投手なら『何の変哲もない白いボールに己の人生のすべてがある』という思いでプロ生活を送ってほしい」と、左腕にかける期待の大きさを改めて語った渡辺氏。近い将来、虎のエース左腕に成長できるか。