ロッテのドラフト2位ルーキー・佐藤都志也捕手(22=東洋大)が開幕一軍切符に並々ならぬ意欲を燃やしている。

「まずはどんな形でもいい。開幕は一軍にいたい」と春季キャンプ中から口ぐせのように語っていた佐藤。田村、柿沼らとチームの正捕手の座を争う大卒ルーキーは3月のオープン戦でも持ち味の打撃と好リードで首脳陣に猛アピールを続けた。コロナ禍で開幕の見通しは立たないものの、現状を維持すれば目標の一軍スタートも夢ではない。

 そんな佐藤が一軍にこだわる理由はプロでの活躍もさることながら、ある人に自身の成長した姿を披露したい思いもある。母校・東洋大の1学年先輩で現在DeNAの先発として活躍する上茶谷大河投手(23)だ。

「大学時代からバッテリーを組んでいたんですが、上茶谷さんはプロ1年目から先発として活躍された。そんな先輩が1年でどれぐらい成長されたのかを見たいし、逆に自分も見せたいので。大学時代に先輩には、自分のミスで迷惑をかけたこともありましたからね」(佐藤)

 佐藤には上茶谷への苦い記憶がある。バッテリーを組んだある試合でのこと。上茶谷が好投していたにもかかわらず、佐藤が相手走者の二盗を次々と許した。これに上茶谷が激怒。佐藤は駆け寄ったマウンドで凍りついたという。

「その時は上茶谷さんに鬼の形相で怒られまして(苦笑)。後にも先にもあの時ほど落ち込んだことはない。でもその一件があって以来、走者への警戒には細心の注意を払うようになりましたから。今はいい経験だと思って感謝しているぐらい。その気持ちもあり、プロでは自分の成長した姿を見せたいんです」(佐藤)

 当の上茶谷もこの“激怒事件”は鮮明に覚えている。それでも佐藤の潜在能力を高く評価する右腕は、大学時代の女房役をこう警戒している。

「都志也には当時怒りましたが、それ以外の時はむしろ自分が助けられたことの方が多い。大学時代からプロで通用すると感じていましたから。それに今は敵ですし、いつまでも僕が先輩ヅラしていると、今度は僕の方が対戦した時に痛い目に遭う。これから都志也には優しく接していかないといけませんね(笑い)」

 すでに2人は3月上旬の二軍戦で直接対決が実現。佐藤が適時打を放ち存在感を見せた。開幕延期で今季の交流戦はなくなってしまったが、次なる直接対決の場が楽しみだ。