想像以上に息苦しい…プロ野球選手たちの本音

2020年04月20日 16時30分

【広瀬真徳 球界こぼれ話】新型コロナウイルスの感染拡大によりプロ野球の開幕が遅れている。日本野球機構(NPB)は23日にJリーグとの対策連絡会議等を経て開幕時期を検討する予定だが、現時点では5月の開幕は絶望的。「早くても6月中」が現実味を帯びている。選手は今後も1か月以上にわたり自主練習等での難しい調整が要求される。

 一般企業と同様にプロ野球選手も不要不急の外出は自粛するよう球団から通告されている。下手に外出して感染すれば、氏名を公表される恐れがあるばかりか、チームや球界全体の活動にも多大な影響が及ぶ。そんな事情もあるのだろう。ある球団の中堅選手に先日電話で話すと「正直息苦しいです」と胸の内を明かしてくれた。

「一般の方々が大変なのも理解していますが、一応皆さん、日用品の買い物や公園にランニングに行ったりすることは可能じゃないですか。でも、今僕らが同じことをして仮にコロナに感染したら何を言われるかわからない。一部の選手が大勢での食事会で感染したこともあり、プロ野球選手に対する世間の目は厳しいですからね。必然的に食料品の買い出しなども極力控えないといけない。外出は球場施設で練習する時ぐらいです。その中でコンディションを維持しながら開幕を待っている状況なので、何らかの形でファンの方々の力になりたい気持ちもありますが、今は自分たちも限界に近いというのが本音です」

 体が資本のアスリートならではの苦悩もある。「体重管理」だ。日頃から食事に気を使う選手が多いとはいえ、食事量は一般人に比べて格段に多い。練習量が限られる現状ではその調整が困難になりつつあるという。

「一度キャンプでつくった体を維持するには、ある程度の運動と食事が必要です。でも、今は体を動かすことが限られるので、意識しないと自然に(体が)重くなっていく。仲間内の何人かは自宅で酒も飲んでいるようで、『相当太った』と話していた。プロ意識に欠けると言えばそれまでですが、開幕日が決まって改めてオープン戦をやることになったら、体重増で苦しむ選手が出てくると思いますよ」(前出選手)

 世間から見れば野球選手は高給取り。今すぐ生活に困窮する人はいないはず。増え続けるコロナの患者に対応する医療従事者の苦労や緊急事態宣言下で出社を余儀なくされる会社員、自営業者らに比べれば恵まれた環境だろう。それでも一般人より厳しい行動規範や体調管理を問われているのも事実。選ばれし者の集団とはいえ、彼らもまた苦しい日常生活を強いられている。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年、愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。