阪神の新外国人選手、ジョン・エドワーズ投手(32=前インディアンス3A)のハングリー精神に注目だ。19日には甲子園球場で自主練習を行い、練習後にはオンライン取材にも参加した。

 来日初年度から異国の地でコロナ禍に巻き込まれ、まだ公式戦デビューもままならない現状ながら「タイガースの一員として今、ここにいるだけでも、すごく感謝してます」と笑顔を見せる。というのも、来日に至るまで、苦労に苦労を重ねた経歴の持ち主でもあるためだ。

 18歳の2006年に外野手としてカージナルスのマイナーでプロ入りも、4年間でメジャー昇格を果たすことなく独立リーグへ。その後、投手に転向。12年からレンジャーズ傘下のマイナーで修業を重ね、ついに14年に念願のメジャー昇格。「さあ、これから」と将来の展望が開けたかと思えた同年オフにまさかの精巣がんが発覚した。

 一時は生命の危険に陥るほどだったが、大病を克服。ところが16年には右ヒジのトミー・ジョン手術なども重なり、17年シーズンは“無職”の浪人生活も経験した。近年はメジャーのロースターに残れないどころか、春先は所属先も転々とすることの方が多かった。

 キャンプでは、旧知のメジャースカウトに「今年は職探しに追われる心配はなさそうだよ」と、ジョーク交じりで再会の握手を交わしたという。「いい意味で、彼はNPBでも外国人選手っぽくない。日本人よりもよっぽどハングリーでタフな環境でキャリアを重ねてきているからね」とは前出のメジャースカウト。活動休止中は「ずっと家で聖書の勉強していた」と話すほど、普段から敬虔なクリスチャンでもある。

 来日までのキャリアではなかなか得られずにいた“安定”に感謝する虎の新助っ人は、日本での成功へ向け、静かに闘志を燃やしている。