新型コロナウイルス感染拡大の影響による公式戦試合数削減の影響が、パ・リーグ連覇中の西武を直撃しそうだ。

「試合減は超攻撃野球の西武には不利に働く」と予想するのは、西武OBで本紙評論家の大友進氏。根拠となるのは、12球団すべてのチームで鮮明となってくるであろう「投高打低」の傾向だという。

 同氏は「誤解を恐れずにいえば、休止期間の調整は投手より野手の方がより難しいと思うから」とし、こう説明した。

「現状で12球団の各チームは自主トレと称して、それぞれの本拠地で個別練習をしています。ただ、その練習はキャンプからオープン戦を経てつくってきた感覚を一度全部ゼロにしなければいけないもの。その感覚の部分で状態を維持することは絶対にできない。投手も打者に投げる距離感を確認し、反応を見ながら感覚をつかんでいくだろうし、打者もオープン戦の40~50打席を使って感覚をつかみ、キレを出していくもの。オープン戦で一度つかみかけたその状態がプレーンとなった今は12月、1月と変わらないオフの状態に戻っている」

 練習プラス実戦の中で養っていく生きた球への感覚については「突然、1か月後に開幕となって、例えば2週間のオープン戦再開期間があったとしても打者の方はいきなり対応できるものではない。その少ないオープン戦は若手の一軍半クラスではなく6人のローテーション投手を中心とした主力投手中心の調整に使わざるを得ないだろうし、12球団の打者のほとんどが不完全な状態のまま開幕してシーズンの中で状態を上げていくしかなくなる」と見ている。

 大友氏は「だから試合の少ない今年は圧倒的に投手有利ですよ。つまり質量とも高い投手力を持つチームが上に行くということ。パ・リーグはソフトバンクの1強が濃厚。これに対抗できるとすれば楽天でしょう」と断言するほどだ。

 3連覇を狙う西武については「若手投手陣に期待はしたいが、これまで実績のない西武の投手陣を上位予想するのはリスクがある。まして公式戦が80試合から90試合に削減されればそれだけライバル5球団は西武戦にエース級をぶつけてくるわけだから、いくら破壊力のある西武打線でも今年は全体の調子が上がる前にシーズンが終わってしまう可能性もあると思う。その意味で試合数の減少は西武にとっては望ましくない」としている。