今年3月に退任 中日の光も影も知る白井前オーナーの魅力

2020年04月07日 16時30分

今年、退任が発表された白井オーナー

【取材のウラ側 現場ノート】中日担当となって17年目。2002年から11年連続でAクラスを誇った常勝軍団は、昨季5位で球団初の7年連続Bクラスと低迷を続けている。光と影。そのどちらも白井文吾氏(92)がオーナーを務めていた時代のことだった。

 就任は00年3月。03年オフには落合博満氏を監督に招聘して周囲を驚かせた。翌年からの8年間でリーグ優勝4度。07年にはクライマックス・シリーズからの勝ち上がりではあったが、球団として53年ぶりの日本一に輝いた。

 しかし、落合監督が退任した翌年の2位を最後に転落が始まった。黄金期を築き上げた選手たちがベテランと言われる年齢となっても取って代わる若手が育たず、昨年までの8年間でチーム再建を託された監督は高木守道さん、谷繁元信さん、森繁和さん、与田剛さんの4人。光を見いだせないまま、今年3月25日の中日の株主総会で白井オーナーの退任が発表された。

 立場によって賛否はあるだろうが、取材対象としての白井前オーナーはとても魅力的だった。年齢からは想像できないほどエネルギッシュ。いつでも背筋はピンと伸びていて、声は大きくてよく通る。記憶力も抜群だった。

 2~3年に一度の間隔で監督問題が勃発していたこともあり、何度も自宅前で夜討ち朝駆けをさせてもらった。決して記者を無視することはなかったが、ときに「(次期監督は)まだ何も決まっていない。それはファン投票で決めればいいのでは」と言ってはぐらかすなどタヌキぶりに泣かされたこともあった。

 20分前後の独演会となることも珍しくなく、核心や肝心なことは明かしてくれなくても、ちゃんと目を見て「中京スポーツ(東京スポーツ中部版)か。よく紙面は読んでおるよ」と言われると、うれしい気持ちになったものだ。

 チームの再建は後任の大島宇一郎オーナー(中日新聞社社長)が担う。どう巻き返していくのか興味は尽きないが、もう白井邸に押し掛けることもなくなるのかと思うと少し寂しい。

(中日担当・霞上誠次)