昨年10月アキレス腱断裂の巨人・野上 開幕に間に合う!?

2020年04月06日 16時30分

リハビリも順調な野上。開幕滑り込みも見えてきた

 新型コロナウイルスの影響で開幕が最短でも5月下旬以降となったプロ野球。そんな中、左アキレス腱断裂の大ケガから一筋の光明が差してきたのが今季で巨人移籍3年目の野上亮磨投手(32)だ。当初、6月実戦復帰の予定が驚異の回復で5月に前倒しと状況次第で開幕に間に合う可能性も出てきた。ジャイアンツ球場で必死のリハビリを続けるFA右腕が思いを語った。

「体の中で『パーン』と何かが破裂した音が響いた。自動車のタイヤがパンクしたみたいな…」。野球人生最大のアクシデントの瞬間を野上は淡々と振り返った。

 昨年10月20日、日本シリーズ登板を視野に野上は宮崎フェニックス・リーグ、韓国ハンファ戦に2番手で登板。2イニング目の6回一死一、三塁で投じた際、左足がマウンドの穴にはまり、そのまま横にスライドした。

「左足を踏み出した時にテコの原理でブッチーンと切れた。直後は痛みは感じず自分でマウンドを降りようとした。でも最後は右足で跳ねながらベンチに戻った」

 病院に直行すると診断は左アキレス腱断裂。神村学園高(鹿児島)、西武、巨人とこれまで大きなケガとは無縁だった右腕にはまさに青天のへきれきだった。

 3日後には手術を行い松葉づえ生活が始まった。一般人でも歩行再開まで約3か月の大ケガはプロのアスリートなら競技人生に関わる。

 同断裂後にプロで成績を残せたのは門田博光(南海=所属はケガ当時、以下同)、前田智徳(広島)、西岡剛(阪神)ら野手がほとんど。投手の数少ない例は遠藤一彦(大洋、現本紙評論家)などごくまれで野球人生に終止符が打たれてもおかしくはない。

「復帰を諦めなかったのは手術の後、すぐにオフに入ったから。これがもしシーズン途中のケガだったら正直、復帰は諦めていたかも…」

 引退の2文字を振り払うと足が動かせない分、体幹を鍛え抜いた。今年1月には歩行を再開し、2月8日には宮崎のブルペンで立ち投げとステップを踏んできた。

「手術直後は全力投球は6月からと言われたけど1か月早まった。松葉づえが右肩の負担になったけど、5月中には思い切り腕を振れると思う」

 つらいリハビリも家族の存在と先輩たちの体験談が支えてくれた。関連する記事を集めるだけ集め読みふけった。

「アキレス腱を切った投手はほとんどいないけど野手の方は大勢いる。それが支えになった。元広島の前田さんはケガをした後でも成績を残されている。オリックスの北川(博敏=現阪神二軍打撃コーチ)さんも復帰した。今の思いは『人間ってすごいな』ということ。腱が断裂してもしっかりと回復する。開幕にもひょっとしたら間に合うかもしれない」

 西武で6年間、ローテを守った右腕も巨人では2年間で先発わずか10試合。成績も5勝6敗と貢献できていない。復帰後も左足をつくたび見えない恐怖との闘いは続くが、このままでは終われない。